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神のオトシ者  作者: NiKKy
出会い
7/84

~過呼吸 ルナside~

『過呼吸とは何か』と問われたら

『小さい頃に何回かなったことのある病気』と答えます

~ルナ=サテライト~


レオくんが私行きつけのファッションショップの店員さんと何やらやり取りをして服を買ったあと、レオくんが私に話しかける。

「ルナお姉ちゃん?あのお店で買った服って結構多いの?」

「そうだね〜。なんだかんだ何年か行き続けてたから」

「その服も?」

「これもそうだね」

「ちょっと上着見せてもらってもいい?」

「いいよ」

私は羽織っていた上着を脱いでレオくんに手渡した。

「あ、やっぱりか。よいしょっと。うん、これでオーケー」

「何があったの?」

「ん〜……ちょっと待ってて」

レオくんはそういってスマートフォンを取り出した。

「あ、執事さん?ちょっと話があるんだけど………」

私に会話が聞こえない距離で爺やと話しているようだ。

それから数分が経過してレオくんが戻ってくる。

「お待たせ」

「大丈夫だけど何の話をしていたの?」

「それはルナお姉ちゃんに真実を述べていいかの相談をしていたんだよね」

「真実?」

「そう。あの店でのボクと店員さんのやり取りはルナお姉ちゃんの人生に大きく関わっていた問題なんだよね」

私はレオくんの話を静かに聞いている。

「それでルナお姉ちゃんが大きなショックを受ける可能性があったから執事さんに確認をとってたんだよ」

「爺やはなんて?」

「ルナお姉ちゃんの意見を尊重するって。聞きたいと言われたら話して、聞きたくないと言われたら話さないでくれって」

「そっか。やっぱり爺やならそういうよね」

爺やがなんて言うかは知っていた。

爺やは私が何かに悩んでいても最終的には「お嬢様のしたいようになさるのが一番かと」と言って締めくくっていた。

あの家で爺やは、爺やだけは『お嬢様だから』という理由で行動を制限したりしない。

だからレオくんからそう伝えられた時もなにも不思議に思わなかった。

「で、ルナお姉ちゃんはどうするの?」

「………」

正直話を聞くのは怖い。

世界の裏側を知りたいけれど、直接私に関係ある話となると腰が引けてしまう。

けれど、裏側の世界を見るのが怖いなんて巻き込んだレオくんの前で言えるわけもない。

たぶんレオくんにこのことを話しても「無理しなくていいよ」みたいなことを言われるに決まってる。

この子と一緒に居たのは1日ぐらいだけどレオくんはそういう子だと断言できる。

たぶんレオくんにそれを言ったら「短い期間で人を判断しないほうがいいよ」って言われるんだろうな。

そんないろんな考えが頭の中を回り、最終的に私が返事したのは

「レオくん。教えてください。この世界の裏側を」

「そう言うと思ったよ。」

そうレオくんは言ってからはにかんで私に告げる。

「まあ、これで教えなかったら雇われたボクはどうなるんだって話だし」

恐らくレオくんは私の恐怖心を和らげようと冗談を言ってくれてる。

「覚悟はできてるよ」

私は拳を握りしめて気合を入れる。

「分かった。まず、言うべきことは2つあるんだ」

そういってレオくんはポケットから黒い小さく薄いプレートのようなものを取り出した。

「レオくん………それは………?」

「これは盗聴器だよ」

「盗聴器………どうしてそんなものを?」

「これはボクが持って来たんじゃないよ。さっきルナお姉ちゃんの上着から取ったんだ」

私は言葉を失った。

なぜそんな物が服に付けられていたのか。

「もっと詳しく言うと襟の裏側、まあ盗聴器を仕掛けるときのテンプレの場所だね。そこにテープで張り付けてあったんだ。ボクが試着したシャツにも付けてあったしね」

そしてレオくんは私にとある予測を告げる。

「たぶんあそこの店で買った服のほとんどに盗聴器が仕掛けられてるよ」

私は目の前が真っ暗になっていくのを感じた。

「ルナお姉ちゃん!!ルナお姉ちゃん!!大丈夫⁉」

レオくんの声で意識がはっきりすると私は膝をついていた。

「あ、ごめん。ちょっと目眩がしちゃって」

「たぶん相当ショックだったんだね」

私があのお店に通い始めたのは3年程前で、今まで買った服は二、三十着。

そのほとんどに盗聴器が仕掛けられている?

今まで全く気にしていなかった自分の領域が蝕まれる感覚。

寒気がする

吐き気がする

頭痛がする

私が寝ぼけていた声も

少し恥ずかしい独り言も

爺やにこぼした愚痴も

全てを聞かれていた?

「……っ!ヒッ!……ハッハッ……ハッ……ヒッ!」

私は突然の情報にパニックを起こし、過呼吸になってしまった。

突然倒れた私に困惑したのかレオくんは周りを見渡す。

そして何やら思いつめたような顔で私を見つめる。

何か迷っている様子で瞳が左右に揺れている。

しかし、何かを決意したように目が私をまっすぐ捉える。

そして白くて細い両手で私の頬を押さえ、レオくんが口を開く。

「ルナお姉ちゃん………ごめんね」


そしてレオくんは私の唇を奪った。

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