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神のオトシ者  作者: NiKKy
出会い
5/84

~お出かけ ルナside~


『お出かけとは何か』と問われたら

『私をワクワクさせるもの』と答えます

~ルナ=サテライト~


レオくんの素性についてある程度話したあと、私は爺やに話をしに行った。

「爺や、あの子をボディガードにすることにしたから」

事後報告で何か小言を言われると思ったけれど……

「そうですか。それでしたらお父様には私から話をしておきましょう」

「何も言わないの?」

「何がでしょう?お嬢様が決めたなら私が口を出すことはありません。私はお嬢様の召使いですので」

何も言わずに、更にお父様に話までしてくれるらしい。

文句の1つや2つを言われる覚悟でいたのに……

「せっかくですので交友を深める意味でも身なりを整える意味でも買い物に出掛けてはどうですか?」

「確かにあのままの格好だとこっちでは目立つかもしれないわ」

「お出かけになる前に私に声を掛けて下さい。少しになりますがお小遣いを2人に渡しましょう」

「ほんと!?ありがとう爺や!」

私は爺やにお礼をして部屋に戻ろうとする。

すると爺やに後ろから話しかけられる。

「あ、お嬢様。朝食から外食されますか?レオの分も用意できない訳ではありませんが……」

「そういえば朝食もまだだったわね。せっかくだから朝から外で食べるわ。ありがとね」

「いえ、お嬢様のおっしゃる通りに……」

そして私は部屋に戻ることにした。

最後に爺やが言った言葉は小さい頃からずっと爺やが言っている口癖みたいなものだ。

子供の時は特別扱いされているみたいで気分は良かったのだけれど、最近になってあの言葉の裏にどのような意味が込められているのか気になっている。

「ただ私の言うことを聞くって意味でいいのかしら……」

そんなことを呟きながら部屋に入るとレオくんが話しかけてくる。

「誰がルナお姉ちゃんの言うことを聞くって?」

「レオくん今の聞こえたの?」

「うん」

今の声量だとすぐ隣に居ても聞き取るのは難しいぐらいなのに、レオくんは数メートル先に居ながらしっかりと聞き取っていた。

「義眼に頼らなくても殺し屋は五感が鋭いんだよ」

「殺し屋の生体が改めて分からなくなってきたよ」

「謎に包まれてるからね」

「それキミが言っちゃう?」

そんなやり取りをしてから本題を切り出す。

「レオくんさ一緒に外に出かけない?ご飯とか食べたり洋服を買ったりさ」

「外か……ボクが赤烏ってバレないかな?」

「その黒い格好だとバレるからもっとオシャレな服に着替えればいいんだよ」

「なるほど……この眼帯は隠せないから諦めるしか……」

「あ、医療用っぽい白い眼帯が医療室にあったかも、その装飾されたのより誤魔化せるよね?」

「そんなのもあるのか……豪邸だから?」

「そうなのかな?ある家にはあると思うけど……」

私は医療室に行き医療用眼帯を持ってきてレオくんに渡す。

「うん、これならあんまり目立たないね」

「ところでレオくんはこっちの店で買い物とかはしたことある?」

「いや、任務でこっちに来たことはあるけど、買い物なんてしてる暇はなかったからね」

「そうだよね。服装の方は私のサイズの服が合うとも思えないから店で買おうね」

そういうとレオくんは私を眺める。

「ルナお姉ちゃんスタイルいいもんね」

「レオくんもスラッとしててカッコイイよ」

「ルナお姉ちゃんを見てると自身無くすよ……」

その時、私のお腹の虫が盛大に鳴いてしまった。

「ははっ、それじゃどっかに食べに行こうか。と、言ってもボクはこっちの店を全然知らないけどね」

「恥ずかし〜!えっと、この時間から開いてる店ってなると、ファストフードかな?」

「ファストフード?」

「早い食べ物って意味で注文してからすぐに出てくる手軽な食べ物屋さんって感じかな?」

「あ、ハンバーガーみたいな?」

「そうだね。さすがにスラムにもあるよね?」

「うん。ファストフードって呼ぶのは知らなかったけど」

「レオくんはハンバーガー好き?」

「大好きだよ。手軽に食べれるおかげで任務中でも大好物を食べれたんだよね」

「なら、ハンバーガーを食べに行く?」

「こっちのハンバーガーはスラムのと違いがあるのかな?」

行き先も決まって私たちはお小遣いをくれるという爺やのもとに向かった。

「爺や〜、そろそろ出かけるわ」

「では気持ち程度ですが……」

そう言って私とレオくんに5000円ずつを渡した。

「あ、ほんの少しレオと話をしたいのでお嬢様は先に外に行ってて貰っても?」

「えっと……」

先ほどの二人の険悪なムードを感じた私は心配で返事に戸惑ってしまった。

「大丈夫ですよ。別に喧嘩するわけではありませんので」

「うん、ボクも執事さんを少し話したい事があるかな」

「そ、そう。なら先に出てるわね」

私は二人を残して先に外に出た。

それから数分経ってレオくんが出てきた。

「待たせたね」

「話はもう終わったの?」

「うん。ホントにあの執事さん何者なの?ボクの殺気をまともに受けてあんなにヘラヘラしてる人、初めて見たんだけど」

「殺気?」

「ああ、ルナお姉ちゃんは感じれて無かったね。殺気っていうのは相手を殺すとか倒すってときに心に溜まる気合いで、ある程度武道とか戦闘とかをやってる人にはそれが自分に向けられているのか分かるんだよ。」

「よく漫画とかの表現であるな〜って思ってたけどホントにあるんだね」

「そうだね。さっきは執事さんを試そうと思って結構濃い殺気を飛ばしたんだけどビクともしなかったよ。普通の人なら暫くの間呼吸できなくなるぐらいのやつだったんだけどな」


このときの私は知らない話だが、屋敷の見回りをしていた武道経験のある人が数名気絶していたらしい。

それから私はレオくんに無闇に殺気を出すのを控えるように言いつけた。


「よし!それじゃあハンバーガー屋さんに行こうか!」

「うん!ここからどのぐらいの距離にあるの?」

「そうだね〜。大体歩いて10分ぐらいの距離かな?」

「近いんだね」

「まあ、この家が街の中心になってるからね。

元々、ここら一帯はサテライト家の所有地で庭とかがあったんだけど、国から商業を発展させる為に土地を買い取りたいって話が出てきて、色んな取引をして土地を売ったんだよね。だから店が自然とサテライト家周辺にできたってわけ」

そんなことを話しながら歩いていたらあっという間にハンバーガー屋さんに着いた。

「ここが?掃除されてて綺麗だね」

「飲食店だから掃除はしてると思うけど……普通じゃない?」

周りを見渡してもいつも通りとしか印象を受けない。

「スラムの方だと床にはゴミや食べ残しがボロボロ落ちてるよ」

「えっ、掃除は?」

「多分1週に1回ぐらいのペースでしかやらないんじゃないかな」

「不衛生じゃん!それって食品とかは大丈夫なの?」

「賞味期限のとかはよく出てくるよ。まず仕入れがスラムだと簡単じゃないから賞味期限切れのしか在庫がないってなるとね」

「それを受け入れるの?」

「まあ、消費期限じゃなければ大丈夫かな?って」

「あ、消費期限は気にするんだね」

「ボクの身の回りの人はね。ほんとにお金がない人とかは残飯漁りとかしてるっぽいよ」

「ってこんな話ご飯の前にする話じゃないよね」

私の知らない世界の話を聞きながらカウンターに進む。

「えっ、こっちのハンバーガーって安いんだね」

メニューを見たレオくんが驚きの声を上げる。

「そう?これが普通だと思うけど……」

「スラムならこれの3倍はするよ?」

「そんなに!?」

「材料が手に入りずらいって事があるとしてもこれほど差が出るかな……ふむ……」

「なんでだろうね。あ、私達の番だよ」

「次の方〜」

「……確かに原価もこっちと比べて高いけど……加工費?……いや……それ程……人件費に関してはこっちより低いぐらい……」

私たちの注文の順番が来てもレオくんは気づかずに考え事をしている。

「レオくん?」

「…………」

「レオくん!」

「え!?あ、ごめん!考え事してた」

「何注文するの?」

「え、え〜と……」

「ふふっ、まだ混んでないのでゆっくりでもいいですよ。かわいい弟さんですね」

メニューを見つめて悩んでいるレオくんに店員が笑いかける。

「ええ、とてもかわいくて、とても頼りになるんです……」

「ん?なんの話?」

メニュー選びに夢中になっていたレオくんは自分が話題に上がったことに気が付かなかった。

「決まった?」

「あ、うん!このチキンのにしようかな」

「それじゃあ私はチーズで」

「はい。かしこまりました。お持ち帰りですか?」

「いえ、食べていきます」

「では、そこの受け取り口にてお待ちください」

しばらくして二人でハンバーガーを受け取り、席に座る。

そうして私たちはハンバーガー屋さんの中で仲良くハンバーガーを食べた。

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