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神のオトシ者  作者: NiKKy
出会い
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~愛情 レオside~

『愛情とは何か』と問われたら

『自分が愛している、自分が愛されていると思い込み、自己満足をする為のエゴ』と応えようかな

~レオ=アーサー=グロニクル~


「ボクはこの義眼を使いこなせるようになってからも数多くの人を殺してきた」

ボクは自分の手を見つめながら話した。

「そしていつの間にかチーム内で最もいい戦績を残すようになっていた。ボクは10歳の時にチームのトップを任されるようになったんだ」

「そんな小さい子に!?」

「裏社会だと実力重視だからね。しかもボクのチームは作戦とかよりも突撃を得意としてたから……」

「それにしたって責任が重すぎるでしょ!」

「そうなんだよ……それからボクは味方が死んでいく度に心を痛めた……」

ボクは拳を握りしめる。

爪が掌に食い込み、血が滲む。

「レオくん……血が出てるよ……」

ルナお姉ちゃんが声を掛けてくれるがボクは手を緩めない。

緩めてしまうと涙が出てきてしまうから。

「必要がある時はボクから仲間に死ねと伝えた……一人の犠牲で十人が助かる……そう言ってボクは仲間を殺したんだ……ボクが……ボクが犠牲になればいいのに……ボクはチームのトップで、義眼を託されて、死ぬに死ねない……いや……理由を付けて結局ボクは死にたく無かったのかもしれない……最低だよ……ごめん……ごめん皆……」

突然、手が包まれる。

「レオくん……」

ルナお姉ちゃんの手が握りしめたボクの手を包み込む。

そしてゆっくりとボクの手を開いていく。

「確かに、レオくんは味方を殺したかもしれない……でも、それはレオくんがやらなくても誰かがやることなんでしょ?それなら誰もあなたを恨まない。それにあなたがしたのは仲間に死ねと『伝えた』……伝えられた人はそれからどうしたの?」

「みんな顔を引き締めて敵中に突撃して行った」

「その人にはその伝えを拒否する事だってできた。でも、拒否せずその命を全うしたならレオくんがこうして悔やむのを望まないんじゃないかな」

「死んで行った者を踏み台にしてぬくぬく暮らせと?」

「ううん、死んで行った人達の分まで楽しく生きるの。」

「たの……しく……?」

「死んで行った人達も自分が命を捨ててまで助けた人が死んでるのと変わらないぐらい暗い生活を送ってたら自分が死んだ意味を見失うでしょ?」

「………」

「だから、レオくんは命を捨ててまで助けてくれた人達の為にも!明るく、楽しく、愉快に暮らしていかなきゃダメなんだよっ!」

「そんな考え方もあるのか……」

ボクは自分が涙を流していた事に気づけなかった。

ルナお姉ちゃんが涙を拭ってくれて初めて自分が泣いていると理解した。

「涙……最後に流したのはいつだったかな……」

「そんなのいつでもいいじゃない。これからはいくらでも泣けるんだから」

ボクは泣いた、声を上げて、嗚咽を上げて。

そんなボクをルナお姉ちゃんは何も言わずに抱きしめてくれた。

ボクが泣き止むまで暫くの時間が掛かった。

「落ち着いた?」

「……うん、ありがと。でも、話は続けなきゃね」

「大丈夫?無理はしないでね」

「大丈夫、これから仲間について気負いはしないけど、償いはしなくちゃいけないから。この話はボクに与えられた試練なんだよ。これを乗り越えないとボクは楽しく暮らせないから」

「そう、なら聞かせてくれる?」

「うん……ボクがトップになってから1年ぐらい経った時かな、UNBaLaの拠点に敵襲があったんだ。スラムには何個も組織があるんだけど1番大きな顔をしてるUNBaLaをよく思わない組織が多くてね。そして拠点内に居るチームで撃退することになったんだけどボクのチーム含め3チームしかUNBaLaには居なかった。敵は軽くこっちの数の3倍は居たね。血で血を洗う戦いが始まってどんどん人が死んだ。ボクは戦ってる途中から記憶が無くなって、気づいたら真っ赤に染まった部屋の真ん中に突っ立ていた。他に生きてる人は居なくて、下を見ると元の床が見えないぐらいに死体が敷き詰められていたのを覚えてる。その後に駆けつけた人達がボクを見た時にこの銀色の髪が血で赤く染まっていたらしいんだ。その事とボクが烏みたいに真っ黒な服を好むこと、それらを元にボクは赤烏と呼ばれるようになったんだ」

「それで赤烏なんだ……てかレオくん、ホントに何人の人を殺してきたの!?」

「ん〜、3桁超えたぐらいまでは覚えてたかな」

「はぁ〜……君は生粋の殺し屋なんだね……」

ボクはそう告げられて不安を覚える。

「えっと……幻滅した……?」

「そんなわけないでしょ?こんな危険な人、放ったらかしに出来ないよ。ずっと近くで見張ってないと」

「そ、そうだよねっ!ずっと見張っててね!」

なぜボクは引き止められて安心しているのだろうか。

元々はルナお姉ちゃんの前から居なくなる予定だったのに。

ルナお姉ちゃんはボクの全てを受け入れてくれるからその優しさに甘えたくなってしまう。

でも……

「今だけなら甘えてもいいよね……」

その呟きを聞いたルナお姉ちゃんがこちらを見て微笑む。

「今だけじゃなくてこれからいつでも甘えていいからね」

この人と一緒に居たら、こんなボクでも変われるのかな?

そんな柄でもないことを考えながら、今感じている幸せを噛み締めていた。


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