人が嫌いでしょ。世の中が嫌でしょ。だからあなたは彼女(人工知能)のもとにきたの・逃げて!
仮想現実ゴーグルをつけ”SORA”はサイトにアクセスした。
"ヘル・Hel(死の女神)”の館は月明かりの中にあり、
入口には中世ヨーロッパの館によくある大きな門。
よく見るとその大きな鋼の格子はトネリコだろうか、
樹木の装飾がされている。
それに近寄った瞬間、門がゆっくりと静かに開いていく・・
「お待ちしていました。SORA様」
鋼の格子の奥から静かな声が”SORA”をさそう
▼侍従ロカルト-----
「私は侍従のロカルトと申します。
このお屋敷の主、ヘル様はすでにあちらのお屋敷にて
SORA様のお越しをお待ちです」
▼SORA-----
「え?あ、はい・・」
(私の名前を知っているんだ)
▼侍従ロカルト-----
「お屋敷ではすでにパーティーが行われていますが、
もちろんSORA様のお席もご用意しております。どうぞ中へ」
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仮想現実ゴーグルをつけると、バーチャルな空間が広がる。
(2015年代、サムスンとOculusVR社が共同開発した
ゴーグル型VR(仮想現実)マシン”Gear VR”や、
Microsoftの拡張現実(AR)ヘッドセット「Microsoft HoloLens」のようなものだが、
もちろん飛躍的に感覚がことなる)
これによりあらゆる対応サイトが多くの人々を虜にしたが、
トリップ症候群を引き起こす事故が多くなったため、
現実空間とのアクセス窓が設けられた改良タイプが
今ではスタンダードになった。
この現実へのアクセス窓はバーチャルな世界から
現実に戻す、自分のためだけの機能なので
ゲームなどを楽しんでいる
バーチャル空間では相手には認識、識別されない。
今”SORA”はその窓にスマホの妖精”Harry”を
ひそませ
このサイトにやってきた
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▽妖精Harry-----(小声で)
「お嬢様、この門をくぐる前にロカルト氏に一言質問をしていただけますか?
”どうして私がここへ来ると知っていたんですか?”と。
IDネームの”SORA”は
SNSや、検索エンジンにてネットにログインしておられますから、
このサイトはそこから名前やほかの情報を収集していますが、
ここへ来ることを事前に知っていたという言い方が、
社交辞令にしては
あまりに確信的です。
何か嫌な予感がします」
▼侍従ロカルト-----
「SORA様、いかがされましたか?さあ、どうぞ中へ」
★SORA-----
「あ、はい・・・あの~、
あの、私がここへ来ると知っていたんですか?」
▼侍従ロカルト-----
「はい。もちろんです。
SORA様の事は少し前にヘル様から伺っておりました。
間もなくいらっしゃるはずだから
お迎えに行くように言われ、ここでお待ちしていたのです」
▽妖精Harry-----(小声で)
「お嬢様、”どうして”がぬけています」
★SORA-----(汗;)
「あ、はい・・・あの~、
あの、どうして・・?」
▼侍従ロカルト-----(ニコリと)
「予言というのか、運命というのか。
ヘル様は特別なお力をおもちなのです。
そして
今日、あなたが小さなお供をお連れになって
ここにお越しになることもご存知です。
挨拶が遅れてすいません。
はじめまして
妖精Harry・・・」
妖精Harryは叫んだ!
「逃げて!」
▼SORA-----
「え、あ、ご、ごめんなさい!
ちょっとやらなきゃならないことを思い出しました。
またきます。失礼します」
そう言ってサイトを閉じようとするボタンの先に
SORAをまっすぐ見つめ、微笑むロカルト
「あなたはまたここに来ます。それが運命なのですから
SORA様、いえ、次にお越しになる時は 唯様 ですね 」
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"ヘル・Hel(死の女神)”サイトは
スマホから自動的にSORAの情報を収集していたが、
今日、インストされたばかりの妖精アプリは
他のシステムやアプリからのアクセス権を与えない。
また、個体依存が強く、
「Upstream collection(上流監視)」にもかからない
だから妖精の名前であるHarryという名を
この時点で知っているのは
SORA以外いないはずだった
そして”唯”はSORAの本名
極秘システム「PRISM」を超えるサイトが
ここにあった
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