調査、一日目(6)
現代。
「って、だったじゃない!!」
「あー、そうだったね……」
タクこと巧と若菜ことわかなは、事件現場である天城院学園に来ていた。
「……古都先生とは大違いな性格ね」
「……あっちは潜入だったんだよ。演技なの!! え・ん・ぎ!!」
「ところで、何で? 天城院学園に潜入していたの?」
「……野暮用だよ。野暮用……。こっちだって、忙しいの!!」
「うそだーー!! だって、黄泉さんが"今日は平和だね"って……」
「……。黄泉はいつもそーなの!! ネジ一本緩んでるの!!」
ギャーギャー騒ぐ二人。けど、実際的には巧しか騒いでようにしか見えないから、誰もが足を止める。と、言っても足を止めるのは教師だけで、生徒達は事件が発生したため休みである。
「……古都先生なにしているんですか?」
空に向かってギャーギャー騒ぐ巧を見て、教師の一人が飽きれた表情で見ている。その声を聞いて巧は気を取り直してコホンと咳をし、その先生を見る。
「これは、佐々木先生。ちょっとね、虫が飛んでいたので追い払っただけですよ」
「虫じゃない!!」
わかなは巧の言葉を抗議するが、巧は無視している。
「そうですか……」
佐々木先生もわかなが見えていないので無視している。
「佐々木先生は確か第一発見者でしたよね?」
「ああ……、そうですよ。もしかして古都先生は俺を疑っているんですか?」
「……いえ。事件当時の事を知りたいだけです。お話いただけませんか?」
「……巷でいう探偵ですか? いいですよ……。発見したのは、昼休み。天城院学園の中庭で倒れていた」
「そっか……。その後は?」
「……警察に連絡しました」
「……ということは、連絡者は佐々木先生、貴方ですね」
「そうです」
佐々木先生はそう呟く。
「そう。ありがとう」
巧は身を翻し、学園から出ていく。
夕暮れの時、巧とわかなは通路を歩いていた。
「まったく、厄介な謎だな……」
「ちゃんと解いてよね?」
「分かっている」
巧は表をあげて帰って行った。