調査、一日目(5)
現代。
しばらくしてぼっーと巧は立っていると、やがて、一人の刑事が戻ってくる。
「どうぞ。中にお入りください」
「わかった……」
刑事に言われ、巧は家の中に入って行く。
「おう、担任の教師はあんたか」
「はい……」
刑事のおっちゃんは巧をジロジロと見る。
「まぁいい…、俺は河田 安来。被害者の川崎 若菜は知っているな」
頭をポリポリと後ろで掻いて、床を見てから、巧を見る。
「はい。確かお亡くなりになりましたと、聞いております」
「ああ、そうだ。死んだ原因は、鋭利なものを心臓に刺されて即死。被害者と犯人が揉み合った形跡が有りだが、彼女に怨みを持つ人は?」
「いません……。学園生活でも積極と言いませんが、そこまで態度は悪くないですし、恨みを買うような人ではありません」
「そうか……」
「あの、発見場所は何処でしたが?」
「ああ、天城院学園の構内だ」
「学園の構内ですか……」
「そうだ。担任の先生にはこれ以上、教えることはない。さっさっと帰れ」
「(これ以上、教えてくれそうにないな)……わかりました」
巧は若菜の家を後にした。
「どう? 解けそう……」
「ん……、まぁ……って、幽霊!?」
声をした方に巧は向くと、そこにいたのは、わかなの魂だった。
「幽霊って、失礼ね!! 貴方が、そうしたんじゃない!!」
「ああ……」
巧はあの日の事を思い出していた。
「わかったよ。ちゃんと、川崎 若菜が死なないようにすればいいんだな」
「そう!! もちろん、人の記憶は見ないでよね。プライバシーの侵害だから!!」
「了解。なら、わかなは、当分幽霊……」
「幽霊なの!? いつまで?」
わかなは驚いた表情で巧を見る。
「そう、幽霊……。事件が解決するまではね……」
「しなかったら……?」
「"死"あるのみだね……」
「ちゃんと、解決しなさいよね!!」
景気のいい音がタクの頭に響いたのである。