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探偵と死と恋  作者: 湯島 喜備
第一部:調査(概要)
5/8

調査、一日目(3)

異界

「って、ちょっと待った!!」

「ん?」

誰かの声で、教室や生徒……時間が止まったかのように、凍りついている。まるでこちらはテレビを見ているかのような気分だ。

青年は怒鳴った声の主……若菜(・・)を見る。

「これは何!? なんで、わたしや貴方(・・)はあそこにいるの?」

「ああ……」

青年の答える気のない態度に若菜(・・)は怒鳴る。

「答えなさい!!」

「……。まぁ、そんなにカッカしないで。若菜(・・)

「するわよ!! というか貴方、誰?」

若菜(・・)はドカッとソファーに座る。

「はぁ……。僕の名前はタク。僕の名前(・・)はもう言わなくても分かるよね? そしてコレは若菜(・・)が死ぬ七日前からの記憶を再生しているにすぎない」

タクは自己紹介を簡潔に済ませ、説明をする。

「はっ、なに言っているのかわかんない」

「……だーかーら、今見ているのは若菜(・・)の記憶って事」

その言葉に若菜は赤面する。

「なぁ、勝手に覗かないでよ!! プライパシーの侵害じゃない!! サイテー。貴方、それでも古都先生(・・・・)だったの!!」

若菜はソファーにあったクッションを何度も何度もタクにぶつける。

「あのね……、若菜(・・)が調査って言ったから調査しているんだよ」

「だからって、こんなやり方ってないんじゃない!!」

クッションをタクの顔面にぶつけて、若菜(・・)は何処かに行ってしまう。タクはその後ろ姿を見つめているだけだ。

「…………。犯人みつけ、こっちしか早いのに……」

ポカとタクの頭が殴られる。

「……っつ。ヨミ、殴るなんて、酷いだろ?」

涙目で見上げるタクにヨミと呼ばれた小柄な少年は、溜息をつける。

「ソレはプライパシーの侵害です。女性に失礼です。タクはあちらの世界では教師ではやめて、探偵(・・)なのでしょ? 探偵は探偵らしく事件を解いてくださいね」

「了解です。ヨミ……」

外に出掛けるタクを所長のヨミは見送り、まるで何もなかったかのように、テレビ画面を消すかのように、消した。





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