調査、一日目(2)
若菜が死ぬ七日前(過去)
「おはよう!!」
「おはよう!!」
天城院学園の校門に学生達がにぎあう。幼稚園・小等部・中等部・高等部・大学部のエスカレーター式であり、若菜と京香がいる所は、天城院学園の校門である。
「相変わらず、すごい人ね」
「うん」
人の高さはまばらであり、若菜より高い人もいれば低い人もいる。それもそのはずだ。この校門は幼稚園・小等部・中等部・高等部・大学部の最初に通る入り口であり、校門でもある。
人混みの中、若菜と京香は高等部へ向かって歩く。
数分歩くと、高等部の建物が見えて来て、若菜と京香はその建物に入り、自分たちの教室に向かう。ガラガラと教室の引き戸を開け中に入る。
「おはよう!!」
「おはよう!!」
京香はクラスメイト達に挨拶をして行く。後ろから若菜も教室に入り、挨拶する。
「おはよう!! 京香、若菜」
キャ、キャっと騒ぐ京香とクラスメイト。それは再会のようだ。実際に、卒業を迎えた彼女達はそれぞれの道を歩くから、中には会えない人もいる。そういう意味も踏まえて喜んでいるのだろう。
クラスメイトと京香が騒いでいる中、若菜は自分の席……後ろの席の窓際から二つ目の机に鞄をかけて、席につくと、金髪が見えた。
「おはようございます。若菜さん」
「お、おはよう……。天城院さん」
席にいるとお隣の天城院さんこと天城院 衛にさわやかな声でかけられる。彼は容姿端麗・成績優秀・運動万能で、おまけに天城院学園の理事長の孫だ。そんな人のお隣に座る若菜はある意味の対象である。と、言っても席は公平に決まったクジだ。文句のつけようもない。
(それもあと数回だもんね……)
「わか……」
キーンコーンカーコンっと、学校特有のチャイム音が鳴り、若菜はほっと溜息をつける。そもそもチャイム鳴るギリギリまで来た理由の一つでもある。
(やっと、解放されるもん。あと数回で終わる)
そう思った瞬間、ガラガラと引き戸が開きと同時に立っていた生徒達も自分の席に座る。京香もそのうちの一人で若菜の前の席に座る。
教室に先生……古都 巧が入って来る。
「はい。皆さん、おはよう!!」
「おはよう!!」
さすがに小学生でもないのでみんながみんな返事を返す訳でもない。それも知っていて古都先生は追求しない。そのまま、まっすぐ歩き、教卓に着き、持っていた生徒名簿を置き、広げる。
「出席を取っていくぞ……、青野……」
「はい」
古都先生は次々に生徒の名前を言っていき、返事をしていく。
「天城院……」
「はい」
男子が終わり、女子の名前もあげていく。
「神谷……」
「はい」
「川崎……」
「はい」
そうして女子も終わり、HRになる。