少年
銀髪大好きすぎまs((
オッドアイならなおよし((
暗い路地の一角に、その店はある。
酒と煙の臭いで溢れるその店は、賞金首狩りの男たちで埋め尽くされていた。
彼らは毎日ここに集まっては、「昨日こいつを街で見かけたが、取り逃がした」「先週俺も見たー」「オレ3日前30万ゲルの賞金首捕まえたぜ」など情報交換や自慢話を披露する。
しかし今日は違った。
繰り返されていた日常の中に珍しく新たな客が来たのだ。
ちりんちりーん、という店の扉についていた鈴の軽快な音に反応し、男たちが振り向く。
「………………」
そこには、大ぶりの外套を身に纏った少年が立っていた。
年は16から17くらいだろうか。
この集団とは似ても似つかない整った顔立ちをしている。
なにより彼らの目を惹いたのは、その美しい髪と瞳の色だ。
触れれば心地良いであろうさらさらの銀髪に、見る角度によって色が変化する赤紫の瞳。
透けるような白い肌に映える。
「……えー、っと…………」
いかつい感じのおやじ集団にガン見され、少年はその場から一歩後ずさる。
心なしか、少々目も泳いでいた。
誰だって、こんな筋肉集団に一斉にガン見されれば、この空間から消えたくなるだろう。
その少年も例外ではなく、その場から逃げ出そうとした。
「し、失礼しましたっ!!!」
「ちょ、待てよ、兄ちゃん?!」
そんな彼をおやじ集団はなんとかして引き留める。
「なにか用があってこんな汚ェ店来たんだろ?ほら、とりあえずそこ座れよ」
自らの店を汚い、と表現した店の主人はそう言って男たちに無理矢理空けさせた席を指さす。
「…………ありがとうございます」
恐る恐る、といった様子で少年は席に座る。
「で、ご注文は?」
とりあえずは店だ。
商売をしなければ。
「えーと、じゃあルマーグの実のワインを一つ……」
彼がそういうと店主は「はいよ」と言って瓶を取り出した。
「兄ちゃん、ここらじゃ見かけない顔だな」
彼の隣に座る男が、そう口を開く。
「あぁ、僕フェチーノから来たんです」
彼はそう言って緩く微笑む。
「フェチーノ……?あの占星術に長けてる最西端の国か?」
「そうです」
まさか知っている人がいるとは、と彼は付け足す。
「フェチーノは魔法使いが存在するって聞いたことがあるぞ」
その話を聞いていた他の男が少し声を上げて言う。
「占星術も実は魔力でやっているが、帝国に囚われるから占星術としてやってるって」
その話を聞くと少年は少々考えるそぶりを見せたが「面白い冗談ですね。魔法はもう百年前に滅ぼされたじゃないですか。それとも貴方はユーヴェルになりたいんですか?」と言って笑った。
同じように周りの男も爆笑する。
ユーヴェル、と言うのは百年前に最期の魔法使いと呼ばれていた男で、最後の最後には帝国に囚われ惨い処刑をされた者の名だ。
つまりユーヴェルになりたいのか?というのはくだらない妄想をして帝国に殺されたいのか、と言うことだ。主にジョークとして使われる。
それを聞いた男は「そうだよな」と言いながら自分の言ったことが恥ずかしくなり、ごまかすように照れ笑いを浮かべた。
「そうか、フェチーノからわざわざ……。ほら、兄ちゃんルマーグの実のワインだ」
話を聞いていた店主はそう言ってカウンターテーブルに座る少年の前にワインを置いた。
「ちなみにこれはサービス」
そう言って瑞々しい真っ赤な果実を少年に渡した。
「うわぁ、ありがとうございます」
少年はそう言って嬉しそうに齧り付いた。
「ところで兄ちゃん」
嬉しそうに食べる少年を見ながら、店主は話しかける。
「アンタ、こんな汚ェ店に、何の用で来たんだ?」
その場にいた全員が疑問に思っていたことを口にした。
「いふぇ、ひゅうはふぁふぁはれふぁとひひたのれ」
「あぁ、悪い、口の中のモン飲み込んでから言ってくれ」
彼がそういうと彼はむしゃむしゃごくん、といった具合に果実を食べ終えた。
「すみません。……龍が現われた、と聞いたので、狩りに来たんです」
彼がそういうとその場の空気がぴん、と張り詰めた。
「…………兄ちゃん、それ本気で言ってるのかい?」
店主の表情も強張っている。
「もちろん、本気も本気ですよ」
彼はそう言って笑って見せる。
「あ、あと知り合いの首も狩りに来ました」
「知り合い?」
「知らないかもしれませんが……刃物使い《ヴァルバ》って言いう暗殺者なんですが……」
「「「刃物使い《ヴァルバ》と知り合いなのか?!」」」
その場にいた全員が口をあんぐりと開く。
「……えぇ、まぁ……。昔いろいろありまして……」
「というか兄ちゃん、アンタ賞金首狩りなのか?」
まさか、とは思うが聞いてみる必要はある。
「あ、はい。先月なったばかりの新人です!アビスと言います!年は16です」
彼はそう言って「先輩方、お見知りおきを」と頭を下げた。
「お前か!最年少で賞金首狩りの国家資格を取ったっていう奴は!!」
彼らは驚愕の目で彼を見た。
賞金首狩りは熟練した体術の達人や、よっぽど筋力に自信があったり、剣術に長けていて、さらに国家試験に合格しなければなれない。
大体は30代後半の男ばかりのこの職業で、かなりの好成績で資格を取った少年、と言うのは異例すぎて
、もうほとんどの賞金首狩りにその情報は伝わっている。
しかも最年少で資格を取った。
ちなみにそれまでの最年少は26だ。
「こんなにたくさんの方がもう知っているんですか……?…………面倒になりましたね……」
最後の呟きは、男たちの声でかき消される。
「お前、そんなほこっこい体でどうやって第3面のグリフォンに勝った?!」だことの「師匠とかいんだろ?誰だ!」とか質問攻めにあう。
しかし次の瞬間
「てめぇ等、遠くから来た客人に失礼なことすんじゃねぇ!!」
困り顔のアビスを見かねた店主が声を張り上げた。
しん、と店の中が静まった。
「悪いな、アビス。この先に宿屋がある。ここは五月蠅すぎて休めないだろうからもう行ってくるといい」
まだ昼ではあるが、どう見ても疲労がたまっている顔をしているのに気付いていた店主がアビスにそう言った。
「あ、ありがとうございます」
(…………この人たちも客人だとは思うんだけどなぁ……)
アビスはその言葉を飲み込むと、店を出た。
主人公のキャラ、実はまだ掴めてないんでs((