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帰り道

作者:
掲載日:2026/02/27

電車から吐き出される。そのまま人混みの中をゆっくりと歩いていく。クソほど遅い集団の流れに逆らうこともできず階段を1段1段ゆっくり降りる。左ポケットから定期を取り出し、改札を抜ける。

今日も何もできなかった。昨日の夜に決意した目標はどこに行ったのだろう。世界を舐め腐ったかのような甘い期待だけを抱き、そして現実に負ける。何者かになれる。そう思い続けて何年たっただろう。俺は果たして生まれてから何歩成長したのだろう。世界で輝けるやつなんてほぼいない。そのくせ自分は主人公だ、成し遂げる男だと思ってしまう。子供の頃たくさん小説を読んできたからだろう。大物になる妄想は数え切れないほどしてきた。小説はいいよな。老いることを知らない。俺が今までこの世に残したことは何だ。俺が死んだとして何が残る。胸が苦しい。情けない。このままふらっと車にでも轢かれればいいのに。でも死ぬ勇気もない。こんな中途半端で弱い俺はこの耐えられないような苦しみを胸に重く抱えて一生生きていくのか。


家の前につき、鍵を出しながらドアに手をかける。


この世界は小説なんかじゃないし俺はただのモブだ。起承転結なんてありやしない。

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