並んだ自転車
週3回、先輩と2人で話せる機会があった塾。
それも遠い昔のようだわ。
「行くぞ。しっかりヘルメットかぶれ。」
ハルトがもたもたしている私にヘルメットをかぶせてくる。
「それくらい出来るから!先行ってて良いから!」
器用に何でもこなすハルトと違って、こちとらワンテンポ遅れてしまうのよ!十分間に合う時間だし、急かさないでほしい。
ハルト「よし。じゃあ行くか。」
「オッケー!」
自転車に乗って移動するのはとても気持ちが良かった。
まるで自分が風になっているかのような疾走感。
親に甘えて車で送迎してもらうより、こっちの方が良いかもしれない。…雨の日以外は。
塾に到着したら先輩の自転車があった。
先輩来るの早いなぁ。
そういえば、私より後に入って来たことあったっけ…?
時間にきっちりしてるんだ。そこも素敵。はい好き。
先輩のグレーの自転車の隣に自分の自転車を停めた。
その並びが大変に素晴らしかった。
この瞬間を写真に収めたい。
額縁に入れて部屋に飾りたい。
この状況が夢に出てきてほしい。
「さっさと入るぞ。」
ハルトの声で現実に引き戻される。
もう少し妄想の世界に浸らせてもらいたいものだ。
まぁ受験生にはそんな暇ないか。暇ないなら家で勉強しろ〜塾通うなよ〜
私がムスッとはぶてた顔をしていたら、私の頭を軽く持って「カエデ。大丈夫か?体調悪い?」と顔を覗き込んできた。
「悪くない!体調良好よ!」ギロリと睨みつけて先に入り口に直行した。
そんな姿を、先輩は窓から見ていた。
先輩(いくら幼なじみでも距離が近すぎないか…?あの子から俺に向けられるものは好意そのものだと思うんだけど…。可愛い後輩って思ってたけど…なんだかなぁ。不思議な感覚だな…。)




