2つ目のハードル失敗
「こんばんは。初めまして。よろしくお願いします。どこに座れば良いですか?」
聞き慣れた声が聞こえて、そちらに顔を向けるとなんとハルトが立ってる。
塾の先生「体験の申し込みありがとう。さ、こっちに座って。」
促されて着席するその席は、先輩の隣だ。
同級生だからおかしくはないが、先輩の隣にハヤトがいる。
な、な、な、何で…!
塾の体験に本当に申し込むと思わなかった!
何で!?
学年1位がこんな平凡な塾に何しに来るのよ〜!
これで帰り先輩と2人の時間がなくなっちゃったじゃん!
ハルトはどうやって来たんだろう?…自転車?
私はお母さんが車でお迎えに来てくれるから…
もしハルトもおじさんかおばさんが迎えにくるなら、早目に来るかもしれない!
そうなったら先輩と2人の時間は確保出来る。
頼む!おじさんかおばさん頼む!
ハルトを早く迎えに来てください…!
祈り届かず、ハルトは自転車で来ていた。
お母さんの車が来るまで一緒にいた。
何でだよ!自転車で颯爽と帰れよ!
いやしかしだ。
そこで1人で先にいそいそと帰っても…先輩がどうしたんだろうって心配するか…。
先輩「2人は幼なじみで本当に仲が良いんだね。」
「あ〜ハハ…腐れ縁なだけですよ…。ハハハ…」
ハルト「そうだな。いつまでも世話のかかる可愛い幼なじみだ。」
先輩「そっか…そうなんだね。」
(真顔で答える内容じゃないよね?)
先輩「そういえば今度の試験範囲で〜」
ハルト「それは問題集の〜」
受験生だもんな。2人ともな。
勉強に部活に頑張ってるもんな。倒れん程度にやっとくれよ。って…ちがーう!
何を私はぽたぽた焼きのおばあちゃんの雰囲気で見守ってるんだ!
やめろ!私の中のぽたぽた焼きのおばあちゃん!今じゃないから!
ま、まぁ今日はね。体験だから。
本当に入るかどうかは分かんないからね。
帰りの車内
お母さん「ハルトくん、同じ塾に行くことにしたそうね。聞いたわよ〜。ハルトくんが自分から習い事したいって言い出すの初めてなの!ってお父さんもお母さんもとても嬉しそうだったわ〜。カエデもこれで行きも帰りも安心ね。今度から一緒に自転車で行けるわね。」
「え!?私自転車で行くの!?」
お母さん「その方が良いでしょう?いつも一緒に待ってくれてた子も、すんなり帰れるじゃない。大丈夫よ。ハルトくんと一緒なんだから。」
「…」
言葉が出なかった。
お母さんは私が自転車で行くのが嫌だと思ってるようだ。
それは良いのよ…。
あ〜あ。せっかくの2人の時間がぁ…。




