1つ目のハードルクリア
今朝はご機嫌なのが自分でも分かる。
ミサキ「ママが今の家庭教師の何が不満なのかって。塾は駄目だって〜。私も行きたかったなぁ〜。」と、朝の会の前に愚痴ってきたからである。
「そっか。そういえばミサキは家庭教師だったね。」
ニヤける顔を取り繕えただろうか。
神妙な顔をする練習しとかなきゃ駄目だこれは。
なんて軽い足どり!なんて美味しい空気!ここはアルプス山脈!私は鳥!
…鳥ってアルプス山脈にいるの?たっかい場所に鳥が?
鳥、鳥、鳥、鳥、鳥取鳥取〜ルルルルルルルルルラ〜♪
ハルト「カエデ。忘れ物だ。」
あと2分で朝の会。
廊下から教室に向かってくる担任の先生「おーい3年の教室はここじゃないぞ〜」
ハルト「おはようございます。すぐ終わります。カエデ。これ早く。」
恥ずかしい。
ヒソヒソ言われてるし…顔が真っ赤になってるのが分かる。
給食のおかわりは恥ずかしくないのにおかしいだろ!って思う?
それがねぇ。
フランクな場は大丈夫なの。
カチッとした場面ではすぐ緊張しちゃうの。
そういう人間もいるの。
人間の反応って、変だよねぇ。
せっかく忘れたラケットを届けてくれたのに、小声で批判するように言ってしまった。「ハルト小さい声で言ってよ!皆に注目されて恥ずかしいじゃん!」
ハルト「忘れる方が悪い。忘れてるのを気付いてくれたおばさんに感謝しろよ。じゃあまた部活でな。」
すごいスピードで消えていった。
女子のヒソヒソ声がつらい。
「幼なじみだからって…忘れ物届けさせるとかどうなの?」
「え?もしかして付き合ってるの?」
「先輩は妹みたいな存在って言ってたよ。」
「でっかくて安心感あるだけでしょ。マスコットみたいに。」
言われたい放題だ。
こういう時は聞こえてないふりが一番なのは昔から知ってる。
ハルト、顔は良いんだよなぁ〜あの口の悪さが全てを台無しにしてると思う。
担任の先生「さ〜全員席に着こう。朝の会始めるぞ。」
私は消え入るような声で「はい。」と返事をして席に戻った。
緊張する癖って治るのかな?
せっかく絶好調だったのに…。
ううん、大丈夫!
昨日の塾で先輩と話せたんだから!今日もチャンスあり!
1日がんばるぞ〜!
こんな私の浮き足立った姿が、ミサキを苛つかせたんだろうなと…今になって思う。




