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落差

私はその晩、なかなか眠れなかった。


テスト勉強を終えた私は、塾の帰り道に聞いた先輩の好きな人のことを考えていた。


あれって私のことだろうか…。私…私のことなんだろうか。


枕で顔を押さえながら、キャー!という雄叫びも抑えていた。

こんな夜中に駄目だ。しっかりと封印だ。


冷静になろう。


よし。ジッとしてても駄目だ。書こう。本当に私かどうか確かめよう。


同級生ではない

同じ学校

1年生ではない

運動部

ロングヘアではない


ということは、同じ学校の2年生、運動部所属、ロングヘアではない


はい、それは私です。


ベッドにダイブして激しくゴロゴロしてしまう。

動いていないと心臓がどうにかなってしまいそうだ。


体を起こしてまた机に向かう。

先輩の言葉を思い出す。


よく笑う

元気いっぱい

勉強も部活も頑張ってる

愛嬌がある

品がある



私はよく笑って元気だと思う。


先輩から見て、あたしって勉強頑張って…るのかな。塾で一緒だもんね。


部活のことは…練習中は絶対見えないよね。場所が外と体育館だもん。


愛嬌と品がある?私が?


愛嬌って…何!?


私は生まれて初めて自主的に辞書を引いた。恋は勉強をもさせるんだからすごいよなぁ。



愛嬌とは

1.にこやかで、かわいらしいこと

2.ひょうきんで憎めない表情・しぐさ

3. 相手を喜ばせるような言葉や振る舞い



私って愛嬌があるの?本当に?


この説明…私に当てはまるの?私って愛嬌ある…?


そしてこれは断言できる。


私には品がない。

この前廊下でアラタ先輩にぶつかった時も…決して品がある行いではなかっただろう。


ふいに廊下で頭ポン事件も思い出してしまって、脳が沸騰しそうだ。


いやいや落ち着いて私。


先輩の好きな人って、もしかして私じゃないんじゃない?


部活動の姿を見られたことないから、頑張ってるかどうか何て分からない。

普段の言動から、愛嬌と品があるなんて思えない。


先輩から見える範囲で、部活してるのが見えるのは…女子テニス部だ。一番近いと言って良いだろう。


もしかして全部当てはまる人って…


私は頭の回転が鈍っている夜中の思考力で、一つの答えにたどり着いた。



ミサキだ。



私は血の気が引いていくのを感じた。


先輩の好きな人は私じゃない、ミサキだ。


ミサキだったら先輩が言っていた全ての条件に当てはまる。

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