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第36話 謁見前

 6日後。

 王城への招待がかかった。

 メリアは「3日くらいじゃないですかー?」とか言ってたけど、実際はその倍かかった。

 何でも、僕たちの到着が早すぎた影響で、貴族たちの準備が間に合わなかったのだとか。


 メリアに吹き飛ばされたり、転げ落とされたり、馬で急いだりしたもんなぁ。

 僕、飛ばされたりする必要、なかったんじゃね?

 馬以外は必要なかった気がする。


 そんなわけでメリアとはお別れだ。


「じゃあ、あたしは軍本部に戻るので。また!」


「護衛その他、ありがとうございました」


 僕は去ってゆくメリアの背中に頭を下げた。

 なんだかんだ色々面倒を見てもらったのだ。

 メリアにはとても感謝している。

 ん?また?


 城門前で待たされて数分、身なりの良い長身の男性がやってきた。

 白髪の後ろ髪を結んで束ねている。

 いいなぁ。

 髪色が真っ白になったらあれやろうかな?

 オールバックであれやるの、格好いいよね。


 そんなことを考えていたら声をかけられた。


「レイ様で間違いございませんね」


「は、はひ!」


 様!?

 いや、さすがに立場はわかったけど、様付けかぁ。

 こういう対応に緊張するのもあるんだよなぁ。

 この立場になってはじめてわかった。


「お部屋に案内いたしますので、謁見までそちらでおくつろぎください。案内いたします」


 白髪オールバックさんの後をついていく。

 たぶん、まだ体が出来上がっていない僕の歩幅に合わせてくれている気がする。

 これを涼しい顔でスマートにやってのけてるの、格好いいわー。

 男が憧れる男って、こういう男だよね。


「こちらでお待ちください」


 でっかいテーブルとイスがたくさんあるけど、これどこに座ったらいいの?

 と、戸惑っていたらオールバックさんがススッと移動してイスを引いてくれた。

 うひー!

 すごいけどめっちゃ緊張するー!


 そんな僕の緊張を感じ取ったのか、


「お飲み物を用意いたしましょう。フッ。わたくしお勧めのハーブティをお入れしてもよろしいですか?」


 言葉の途中でフッと顔を緩め、優しい笑顔で提案してくれた。

 やばい惚れそう。

 僕は相変わらず首をコクコク。

 

 30分後、僕は少しリラックスできていた。

 いやー、あの白髪オールバックさんマジすごいし格好いいわー。

 そんなことを思ってカップに口をつけた、――その時。


「お時間です。移動をお願いします」


 今度は全身鎧を着た兵士さんが来た。

 僕は白髪オールバックさんにお礼を言い、頭を下げて部屋を出た。

 あぶねー。気が緩んでたからお茶吹き出しそうだったわ!

 

 応接室(?)から謁見の間の扉まではすぐだった。

 否が応でも僕の緊張は急速に高まっていく。

 さっきまでのリラックス、どこいった!?


 ――すーはー。すーはー。

 

 僕が深呼吸をしていると兵士さんが声をかけてきた。


「陛下や貴族様たちに、くれぐれもご無礼がないよう願います」


 僕も無礼なんて働きたくないよ!

 てかもう帰りたいよ!


 しかし後戻りはもう許されない。

 音もたてずに扉はゆっくりと開き始めたところだった。

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