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第31話 護衛対象がおかしなことを言っている件 -side Melia-

 あたしは魔獣とレイさん、どちらも狙えるように構えていた。

 まぁ、レイさんに当てるつもりはないんだけどね。


 レイさんはだいぶ余裕が出てきたように見えるけど、その分油断している。

 あ、ホラ、イノシシが動き出しそう。

 あたしは矢を放つ。

 緊張感を持ってもらうのと、恐怖の克服の意味でレイさんスレスレを狙って、イノシシも牽制。

 

 落ち着きを取り戻したレイさんは風の魔法でイノシシを拘束。

 次いで土を固めてトゲ状にして喉を一撃。

 うーん。見事なお手前。

 というか、風魔法ってあんな使い方あるんだね。

 あの使い方は戦場で色々応用が利きそう。


 さて、今日はごちそうだ。

 一日つぶすことになるけど、美味しいごはんのためだから仕方ないよね。


「そういえば、このイノシシどうしましょう?焼いちゃいますか?」


 ……護衛対象が妙な事を言っている件。


「何言ってるんですか?食べるんですよ」


 なぜ空を仰ぐ?

 そう思ったら今度は謎の歌を歌い出した。

 サボってないで手伝ってほしいよね。

 そんなんじゃお肉、あげませんよ?


 レイさんには干し肉を担当してもらうことにしよう。

 すごい魔法使いって聞いてるし、塩とか作れちゃったりしないかなー?

 独自魔法を開発したって聞いてますし。


「開発したって言っても不可能を可能にするものではありませんよ」


 天候を操る魔法が使えるとか聞いてますけど、それはもう不可能を可能にする魔法だと思うんですけど……。

 まぁ、いいです。

 レイさんにはお肉の殺菌をお願いした。


 ふとレイさんの方を見る。

 お肉を浮かせながら熱してる?

 魔法の同時発動ですか。

 やはりすごい魔法使いなんですね。

 

 話を聞いてみると、物体を持ち上げながら空気の層を作って、そのうえで熱してるらしい。

 天才ってやつですねーこれは。


「へぇー。空気の層を作ると熱くならないんですねー」


「そうですそうです。もこもこした服を着るとあったかいでしょう?あれも同じ原理ですよ」


 なんで熱くならない話とあったかくなる話が同じになるの?

 ちょっと意味がわからない。


 夕飯ができたので食べる。

 いやー、やっぱり魔獣のお肉は美味しいなぁ。

 

 無我夢中で食べていると、レイさんが乾燥ニニギ草をちぎってお肉に振りかけている。

 あれって苦い薬草だよね?おいしいの?


 レイさんの方をじっと見ていたらしく、使うかと聞かれた。

 ちょっと気になってたし、遠慮なくいただきましょう。


 ぱくり。

 うーーーーん!

 思ったより全然苦くない!

 それに獣っぽさがなくなっておいしい!


 食事が終わって歯を磨いた後、どちらが火の番をするかで軽く押し問答をした。

 あたしが護衛なんだし寝るわけにはいかないと思うんだよねー。

 しかし、明日の護衛をしっかりするために寝ろと言われたのでそうすることにした。


 あたしが目を覚ますと辺りには不思議な静けさが漂っていた。

 これは……。風の結界?

 平らな風の壁を4枚四角形に張ってるらしい。

 でも音が出てないのはどうやっているんだろう?

 そんなことを考えていたら、魔法使いにならないかと誘われた。なぜ?

 

「いやー。メリアは才能人だなーと思いまして」


 護衛対象がおかしなことを言っている件。

 魔法4つも同時発動している人が言ってるのは何の冗談なの?

 あなたの方がよっぽども化け物ですよ。

 それを伝えると彼はわかりやすく口をへの字に曲げ、説明してくれた。


 レイさん曰く、同時発動ではなく、多重発動なんだとか。

 何が違うの?


 彼の解説では、人間は普段無意識で行動していて、それを利用するのだという。

 一つの魔法を無意識で発動して、二つ目の魔法を無意識で発動して……。とやればできるのだとか。

 無意識で魔法の発動ができるように、とにかく魔法を使い続けるとできるようになる。だから僕のは才能ではないとか言ってるけど、うーん。

 いまいち納得しきれないなぁ。


 翌日、水源に着いた。

 ……んだけど、魔獣が3体もいる。

 水牛の魔獣と、リスの魔獣だ。

 これは本格的にまずいんじゃない?

 早めに隊長に報告しないと。


 魔獣はレイさんとさっくり倒してお昼ご飯の準備をする。

 あたし、水牛は食べたことないんだよね。

 今から食べるのが楽しみ!

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