第23話 水源に魔獣がいる件
翌日。
道中、香草をいくらか摘みながら、順調に水源までたどり着いた。
というか、昨日の場所から意外と近かった。
「しーっ」
メリアが僕を制する。
「また魔獣がいますね。しかも複数」
メリアに言われて目をすぼめてみると、確かに数体の魔獣。
てか、メリアって目、いいよね。
あ、そっか。アーチャーだもんね。
「さすがに今日あそこを使えないのは支障が出ますね……」
「それじゃあ、倒しますか?」
メリアのぼやきに僕が問う。
メリアは一度「うーん」と悩むそぶりを見せ、
「そうしましょうか。できれば水を砂で汚したくなかったんですけど」
ああ、なるほど。
「飲み水の確保なら、なんとかなると思いますよ。ただし、血は分けられないので池の上での戦闘は避けてください」
僕がそう言うとメリアがぐるんと首を回してこちらを見てきた。怖い。
「なんでもっと早く言わないんですか?」
いや、悩んでた理由今知ったばかりだし。
「じゃあやりましょうか。引きつけるので、レイさんには結界を張ってもらいますね」
「了解!」
メリアは駆け出し、僕は魔力を練り始める。
まぁ言うて風の結界作るくらいは朝飯前なんだけどね。
僕は早々に準備を終え、メリアを待つ。
――と、メリアが3匹の魔獣を連れて戻ってきた。
すげー。魔獣を引きはがしてるよ。どんなスピードよ。
メリアが僕の隣まで来たので結界を発動。
結界は僕らを囲うように時計回りで風を走らせることで生成。
魔獣の突進の勢いを削ぎ、体勢を崩させる。
そして、前回と同じように首あたりを狙って土のトゲを生成して貫く。
ズドズドン。
3匹の魔獣が倒れる。
「いやー。あたしの出番はありませんでしたね」
「釣り役とか、一番命を張ってるじゃないですか」
まぁ、メリアには余裕があったけど。
メリアが釣ってきた魔獣は、水牛型と、リス型2匹だった。
「今日もこれ、食べるんですか?」
僕が問うと、意外にもメリアは首を横に振った。
「昨日は丸一日使っちゃいましたし、今日は先に進みましょう。とはいえ、せっかく牛の魔獣肉が手に入ったので、お昼用に焼く分だけは確保しましょうか」
やっふー!牛肉だー!
僕は豚肉派ではあるけど、牛ももちろん大好きだ!
「レイさんは飲み水の確保をお願いします」
そう言われて、メリアのボタバッグを受け取る。
僕は鍋と、金属製のコップを取り出す。
ふっふっふ。こんなこともあろうかと金属製のコップを用意していたんだ。
あ、そうだ。
「お腹の肉と、その反対側の背中の肉を確保してください!頼みますよ!」
僕はそう告げて水を蒸留しに向かう。
装置は至って簡単。
まず、お鍋に池の水を入れます。
その中心にコップを置きます。お鍋の蓋を逆さまにして乗せます。
あとは鍋の下は高温に、鍋の上は低温に魔法で保てば蒸留水の完成だ。
そんなわけで昨日料理に使った鍋を洗った後、上記の作業をひたすら繰り返し、ボタバッグに水を溜めていく。
数回繰り返し、ふたつのボタバッグが満タンになったので、メリアのところに戻る。
メリアもちょうど精肉が終わったところで、今から焼く段階だ。
「ちょっと早いけどお昼にしちゃいましょう。あたしはお肉を焼いておくので、レイさんは魔獣の死体を燃やしておいてください」
「あ、ちょっと。あの、お腹のお肉は薄切りにして下さい。肉串じゃなくて、石焼きで食べましょう。まだ焼かないで下さいね。あとあと、背中のお肉も石焼にしましょうね!ね!」
魔獣の死体を処理しに行く前にメリアに声を掛けたら苦笑された。
そんなに食い意地はってるかな?
魔獣の死体のもとに着き、手を合わせる。
そして魔法で魔獣の下から炎を出す。
魔法で水を出さないのに炎は出してるのに気が付いた?
魔法には、できることとできないことがあるからね。
それじゃあついでだし、魔法について、少し話そうか。




