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第16話 メリア式、地獄の高速移動術

「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


 目を開けると地面が近づいては遠ざかり、また近づいては遠ざかる。

 これ、なーーんだ?

 風魔法で吹き飛ばされてる僕の視界だよ!ちくしょう!



 時は少し前に遡る。


 メリアと僕は宿をチェックアウトして、村の外まで出ていた。

 メリアは昨日最初に出会った時の恰好……なんだけど、弓は背中に背負っていた。

 弓専用のベルトがあるらしい。

 けど、メリア曰く「動きにくくてこれ嫌いなんですよねー」とのこと。

 

「じゃあ出発しますか!」


 妙案とやらに嫌な予感がした僕は出発を促す。

 そんな僕にメリアは「まあまあ」と宥めつつ、


「妙案があるって言ったじゃないですかー」


 と言ってきた。

 くそー。有耶無耶にしたかったのに。


「じゃあまずはうつ伏せになって、体の下面から地面に向けて持続的に風を出してください。できますよね?」


 割と難しい要求をされる。

 体と地面の間には小石分くらいの隙間しかないわけで、その狭いスペースに風を出し、制御しろってことだ。

 いや、むしろこれは周りから空気を集めて体と地面の間に差し込む。→浮いたところに体から地面に空気の移動をさせる。→その後も周りから空気を集めて下方に移動させて風とする方がよさげ。

 あとは、できるだけ体の上方から優先的に空気を集めて真空状態を作った方が体を引っ張られて浮きやすくなるんじゃなかろうか?

 ちなみに下から吹き上げる方法は無理だ。

 きっとバランスを保ったまま浮き続けるのは制御的に厳しい。


 ……ここまで来るとさ、メリアが何をしようとしているのかわかっちゃうよね。


「まさかこのまま風魔法で吹き飛ばさないよね?」


 それにメリアはニコリと笑顔のみで答える。

 あーこれはあかああああああんぅぅぁぁぁぁぁ。

 僕は吹き飛ばされた。


 というわけで冒頭に戻るわけだ。

 地面と平行に飛べないのかって?

 無理。

 知ってますか?地面って平らじゃないんですよ。

 地面が盛り上がっていれば同じ出力で浮こうとするとその分跳ねる。

 跳ねれば重力に従って地面に近づく。

 反動でまた跳ねる。の繰り返し。


 その後もしばらく、僕は空中遊泳を楽しんだ(?)。

 メリア?

 メリアは定期的に僕を風で吹き飛ばしながら自身にも風をかけてついてきてた。

 簡単にやっていそうに見えるけど、何気にすごいことだ。

 見ている限り、僕に魔法をかける時は自身への魔法は切っていた。

 つまり、僕にかける短い時間のみ発動、制御を行い、また自身へ発動、制御をしていたってことだ。

 ちょっと僕にはできそうにない。

 僕は魔法の多重発動ができるから似たようなことは再現……いや、無理かな。

 恐怖でもう1個魔法を使うとか無理無理。

 今も風を起こすのと、姿勢制御でキャパオーバーだ。

 ちなみに姿勢制御は魔法でもなんでもなく体幹によるものだ。

 

 小一時間ほどで空中遊泳は終了。

 メリア曰く「これ、思ったより魔力消費やばくてヤバたん」とのこと。

 僕は命拾いした。

 嗚呼、きょうのそらはあおくてきれいだなー。


「うーん。恐怖克服も一緒にできて効率的だと思ったんですけどねー」


 思ったんですけどねー。じゃねーよ!

 トラウマになるわ!

 けどまー走ってスピード緩めてまた加速して緩めてを繰り返してるようなもんだし、なんならもっと高度なことをしていたわけだし、魔力消費が多いのも頷ける。

 

 「まぁだいぶ短縮できましたし、ここからは歩いていきましょー」


 そう言ってもらえた。

 よかった。僕は生き延びた。

 でもそうかー。うつ伏せになればホバーできるのかー。

 実はホバー移動できないかと思って修業時代に試してみたんだよね。

 でも姿勢制御がうまくいかなくてさ。

 いきなり足元から強風が吹いてるのを想像してみてほしい。

 そんな感じで立っていられなかったんだよね。

 でもうつ伏せになればこの問題はクリアしやすくなるんだねー。

 これは勉強になった。

 よくよく考えるとスーパーマンも孫悟空もうつ伏せの恰好だったもんなー。

 ……まぁ、暫くの間はやりたいとは思えないけど。


「さあ!立って立って!出発しますよ」


 もう休憩終わりかー。

 まぁもう吹き飛ばされたくないし、しっかり歩くか。

 その日、僕は吹き飛ばされたくない一心で頑張って歩いた。

 次の村には本当にすぐに着いた。

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