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プロローグ ……の方ならあちらに向かいましたよ

 やあ、僕の名前はレイ。

 今、僕は故郷である辺境の地から王城のある王都までの街道をてくてくと歩いている。

 街道脇には猫いちごという、日本人が聞けばヘビイチゴを想像しそうな名前の植物が植えてある。

 ちなみにヘビイチゴ同様、猫いちごを猫は食べない。謎だ。

 昼の陽光がぽかぽかと気持ちいい。旅にはとてもいい日和。

 ……と、


「見つけました!銀髪の青年!」


 いきなり声をかけられた。 

 うーん。僕かな?

 他の人が呼ばれたわけではなさそうだ。

 僕の銀髪はかなり珍しいらしいし、そもそも見える範囲内には僕と声の人物以外の人影はない。

 仕方ないので振り返る。

 

 おおっ!?

 昼の陽光に照らされたその少女は、ぱっと見で分かる――美少女。

 身長は150cm台半ばくらいで、年齢は15歳前後といったところだろう。


 柔らかな金髪ボブがふわりと揺れ、右の横髪はかわいい猫型のピンで留められている。

 そのせいでちょこんとした丸くかわいい耳が少し見えている。

 クリクリとした目は愛らしく、ふっくらほっぺの丸顔なのと相まって綺麗と言うより可愛系。


 そして服装は、オレンジのトップスに白革の胸当て。

 同じく白革のスカートには控えめなスリットが入っていて、そこから伸びる白い脚が陽光に輝いている。

 黒い指ぬきグローブをはめた手には立派な弓。……うん、どう見ても弓使い(アーチャー)だ。

 とても似合ってる。


 だけど、こんな美少女に呼び止められる理由なんて僕にはない。

 確かに王都に呼び出されてはいるが迎えが来るとは聞いていないし。

 何やら面倒事のニオイがする。

 

 そう瞬時に判断した僕は間髪を入れずに親指で後ろを指さし、言った。


「……の(かた)ならあちらに向かいましたよ」


「情報提供感謝します!!」


 風のように駆け行く少女。近くの猫いちごが風に煽られ揺れる。

 その背中を「おー健脚だなー」と見送りながら思った。


 さっさと次の村に入ろ。

 王都への道すがら、観光もしたいしね!


 それに――どうして僕が呼ばれたのか、ちょっとだけ心の準備もしないと。

 ……まさか「王家の畑に雨を降らしてくれ」とか、そんな軽い命令じゃないよね?

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