第91話 情報量
「フン……まともに立てもしない奴に手こず暇もなさそうだ……行くぞおおおお!!」
奴は爪を立てて突撃してきた……それを見た俺は。
「くっ……体が……」
今まで出したことのない力が足に溜まり……一歩踏み出しただけで奴の目の前まで来ていた。
そのままお互いの肩がぶつかり、にらみ合う態勢になった。
その隙を見て、俺は拳に力を籠め、奴の顔面目掛けてぶん殴った。
奴はリングの端まで吹っ飛ばされた。
「こ、これが……俺の力?」
お、俺、こんなすごい力を? だ、だが……やっぱり制御できていない気がする……なんか眩暈が……
ダメだ、頭の中に大量の情報が……おかげで視界がぼやけて見える……
「た、為朝さん……!」
ミオちゃんの声を聞き、前を見ると、ぼんやりとだが奴は飛び蹴りでこちらに接近しているのがわかった。
なんとなくだが、アレは恐らく爪を立てて切り裂こうとしている……ど、どうしよう……
『おまかせください』
脳内にグローディの声が流れ、スプレーを持っていた手がひとりでに動き出した。
そして……自分の意思と反して俺は走り出した。
スプレーを前に出し、噴射した……そして、奴を通り過ぎて着地した。
「ぐわああああ!! 目が!!」
奴はもだえ苦しんでいた。
よし、今がチャンスだ!!
『只今より、最適な攻撃方法を計算いたします』
脚に今までとは違う力が入り、思い切り地面を蹴った。
そのまま一回転し、蹴りを繰り出した……これで終わりだ!
「くっ……この卑怯者が!!」
奴は爪を立てて、俺の足を切り裂こうとした。
俺は咄嗟に足を逸らし、代わりに拳を握って奴目掛けてぶん殴った。
すると、奴は自分が作り出した壁に激突し……壁が粉々になって壊れた。
辺りがダイアモンドダストのように煌びやかになり、奴は地面に手を着いた。
「よし、今のうちに……」
追加で攻撃を仕掛けようとしたその時、頭の中に流れる情報の山に眩暈を感じ、俺もその場に跪いた。
「ダメだ……グローディ……」
あと少し……あと少しなのに……




