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第7話 我が子、グローディ

「ま、とにかく先へ進もう」

「先にったって、どこ進めばいいんだよ」

「安心しろ、私には『かわいい我が子』がいる」

「我が子? あんた結婚してたのか?」

「違う、こいつだ」


……社長さんのお子さん、随分薄っぺらいな、それに凄い機械的……。


「っておい、それただの携帯じゃねぇか、あんたイカれてんのか?」

「ふふ……グローディ、目の前の男を評価しろ」


は? こいつ誰に向かって命令……。


『はい、今から目の前にいる男性を解析して評価しますね』


うお!? 急に携帯が起動したかと思えば心電図みたいな波が出てきた!?

そんでもって携帯からセンサーみたいな光が出て、俺の体全体を覆った。


『分析の結果、この男性は疲労を抱えているように考えます、目の動きから反射神経はそれなりに高いと思われますが、体は全く仕上がっておらず、貧弱です』


おいおい、こいつ、随分バッサリだな……反射神経を褒めてくれるのはちょっと嬉しいが。


『結論を申し上げますと、この男性は貧弱で疲労を抱えていますが、反射神経は人一倍にはあるでしょう、さらに分析をしましょうか?』

「いや、大丈夫だ、ありがとうな、愛しい我が子よ」

『ありがとうございます、お役に立てて嬉しいです』


社長さんの声を聞くと、携帯から鳴る音声は鳴りを潜め、静かに暗くなっていった。


「……おい、社長さん、なんだこれは?」

「これか? 私が開発したAI、グローディだ」

「AI? これをあんたが?」


確かに貰った名刺にはzAIの社長とか書いてあったが、社長さん直々の開発とは恐れいった。


「あぁ、ほら、お前聞いたことあるか? 『Xeta』って会社」

「Xeta?」


確かアメリカに本社のある、SNSをはじめとしたネットワーク関連のものを運営及び開発している会社、だっけか?

最近、確か……エロン・マーとかいうアジア系アメリカ人が買収したとかなんとか……。

俺もXetaのSNSのアカウントは所有しているが……まさか。


「社長さん、まさかそこで働いていたのか?」

「あぁ、しかもただのヒラじゃないぞ、社長直属の部下……開発部の部長だった」

「部長!?」


おいおい、社長さん、28とか言ってたよな? 俺なんてまだ平社員だぞ?

そんなデカい会社の部長だったなんて……。


「じゃあ、なんでそんなデカい会社の、それも誰もが羨む地位にいたのに、こんな極東の島国に戻ってAIの会社なんて立ち上げたんだよ」

「クビになったんだよ」

「クビに?」


そりゃアメリカの企業は社員をクビにしやすいというのは風の噂で聞いたが……。


「ちょいとそんとき、CEOとかチェアパーソンとかビジョンリーダーみたいな横文字の肩書を持ってデカい顔してるエロンのクソ野郎に反抗したら、『お前クビ』っとさ、引継ぎも何もなく私の席は跡形も無く消えた」

「で、祖国まで戻って来たってか?」

「あぁ、小学校以来にな、ちょうど今日は一人でこの子……グローディの営業へ行った帰りでな」


なるほど……と、ちょっと待て。


「……なぁ、Xetaに勤めてたんなら年収もそこそこあったんだろ? 金あんだから車使えよ」


なんで地下鉄なんて使うんだ、金持ってそうなのに。


「私は基本的に無駄だと思うものに金は使わん、それにアメリカの都市部よりも人口密度の高い日本なら、地下鉄の方が渋滞に巻き込まれないし、何より安上がりだからな」

「あぁ、まぁそうとも言えるが……」


それで大地震に巻き込まれた挙句、こんな変な洞窟に入ってしまうなんて何とも不運な。

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