第75話 追手
「なんだありゃ……」
家の前、そこには、これからライブでもあるかのように人だかりができていた。
ライブであるならば普通は楽しそうにするもんだろう、しかし、家の前にいる人々はいかにも楽しそうではない。
「な、なんか皆こっち見てません? ……ていうかこっちに来てる!」
やばい! このままじゃ……
「ば、バックします!」
「は、早く!!」
ジャスミンさんはド派手にドリフトをかまし、引き返した。
バックミラー越しに後ろを見ると、人々はこれでもかと追いかけてきている。
「い、一体何なんだ?」
「ただ事ではなさそうですね……ガレージの方からだったら人はいないかもしれないです、ですけど状況が状況ですので遠回りしますね」
なんだろうか? 社長さんって意外に恨みを抱えているとか?
なんだろうか、リアルの人間の恐ろしさを感じたよ、やっぱりリアルな方が幽霊やバケモノなんかより断然怖い。
遠回りをした影響か、追手は美味く撒けたようで、気を取り直して俺たちはガレージへと向かう。
ジャスミンさんの思惑通り、ガレージに人はいなかった。
「そ、そういえば、ミオちゃんは……」
「中にいます……もしかしたら、怯えているのかも」
「……」
だとしたら、心配だな、早く行って安心させないと。
☆
「ミオちゃん!!」
「鞍馬様!」
家に戻るや否や、俺たちは呼び掛けた。
一度彼女の部屋にも向かったが、いなかった。
一体どこに……まさかまた出て行ったんじゃ? ……と、そんなことを考えだしてしまったその時。
「……た、為朝さん……ジャスミンさん……」
ミオちゃんは……物陰から姿を現わした。
最初に出会った時と同じように怯えていて、今にも泣き出しそうだった。
「ミオちゃん! 心配掛けてごめんね!」
「怖かったですか? 鞍馬様」
「は、はい……すごく……怖かった……うぅ……」
「泣かないでください、ほら」
ジャスミンさんは泣き出したミオちゃんを抱きしめ、何とかして落ち着かせようとしている。
大人の包容力というやつなのだろうか? ミオちゃんはしばらくすると、落ち着きを取り戻した。
「ねぇミオちゃん、なんであんなに人が?」
「そ、それが……調べてみたら……こんなのが」
ミオちゃんは、スマホの画面を見せてきた。




