第71話 斃れる者、消えゆく者
光が晴れると、俺たちは元の廃工場にいた。
……結局、社長さんは来なかったが……あ、そういえば、外に警察が集結してるかもしれないな、早く出なきゃな。
「行こう、社長さん、外にいるかもしれないし、警察来ると面倒だし」
「はい……」
外は辺りはすっかり夜、こんだけ暗くてもあの目立つトラックで来ているのならばすぐに見つかるだろう。
そう思って外に出ると……
「お、おい! あんた! 大丈夫だったのかい!?」
「あ、番場さん」
傘工場の番場さん、それ以外にも野次馬が沢山集結していた。
「俺は大丈夫です、番場さんたちは?」
「あぁ、俺らも大丈夫だが……それより! 社長のお嬢ちゃんが大変なんだ!」
「え? 何かあったんですか?」
「いいから早く!」
「あ、はい! ミオちゃん、一緒に!」
社長さんに一体何が……
☆
「ほら! 早く!」
番場さんの後を追い、俺たちは工場街を出た。
そこで目にしたのは……
「……え?」
zAI社のトラックに赤い光を放つ救急車。
そして……血だらけで倒れている社長さんとジャスミンさんだった。
☆
「……」
とある道端、街灯の数も少なく、辺りは暗闇に包まれていた。
そんな数少ない光に照らされる金髪の人物……その表情は複雑なものだった。
「ほーら、あーしの言った通りっしょ?」
金髪の人物の目の前、そこに、桃色の髪に牛の角が生えた女が現れた。
「……お前の言う通り、処理は済んだ」
「はーいご苦労様、全く、あーしが伝えなかったら今頃街中うろついてるだけだったっしょ?」
「……無駄口はいい、そっちはどうなんだ?」
「もう完璧、直に奴らは身動きが取れなくなるだろうし、ここの人間と言えば、ちょっとそれっぽいこと言えば簡単に信じるし、それに、あーしがそういう能力あるのって知ってるでしょ? ……『レイ』ちゃん?」
「……確かにお前の能力は評価している、『リラ』」
金髪の人物……レイと桃色の髪の人物……リラは暗闇の中で談義を始めていた。
「全く、レイちゃんもドジだよねー、融合に失敗するなんてさ、おかげであーしが出張らなきゃいけなくなったじゃん」
「……気に食わんが、確かに私のミスではある」
「でしょ? じゃあさじゃあさ、一人目はぶっ潰したんだし、残りの連中も処理してよー」
「……生憎私は不意打ちは好みではない、次は一対一で処分する」
「はいはい、そういう美学は良いから、さっさと行ってよ」
「……今は休ませろ、それにこの世界をもっと研究する必要がある、ここの連中と来たら、ダンジョンがあると言うのに悠長にしている」
「うーん、それはあーしも気になる……ついて行ってもいい?」
「……勝手にしろ」
「勝手にしまーす」
リラが例の手を繋いだその時、2人の後ろから、街灯とは違う光が照らされた。
「ちょっとそこの子たち、こんなところで何してるの?」
ダンジョン発生により辺りを警戒していた警官が二人に声を掛けてきたのだ。
「ここ危ないよ、近くで例の洞窟が出たらしくてね、パトカー近くにあるから一緒に……」
警官が手招きをしたその時……それの答えを示すようにリラが手を伸ばした。
「……邪魔」
ただ一言、その言葉をリラが口にすると……警官は心を奪われたかのように目が点になり、その場で硬直してしまった。
「……さ、レイちゃん、行こ!」
「……あぁ」
固まる景観を尻目に、2人は暗闇の中へと消えていった。




