第67話 グローディの提案
「で、家を飛び出して地下鉄に?」
「はい……行く当ても無く…‥でも…‥為朝さんや……社長さんと会えた」
「……」
これ、俺らと出会わなかったら大変な状況になっていたんじゃないか?
「最初は……すぐ出ていくつもりだった……でも、面倒を見てくれた……社長を思うと……申し訳なくて……今日……出て行っても……行く宛がなくて……」
「……そうだったんだ」
そりゃ、ミオちゃんの立場に立つと複雑だ。
AIで自分の親の仕事が追われたのに、今度はそんなAIを開発する人に助け出される……
俺ですらその立場になったら何とも言えない気持ちになるのに、ミオちゃんぐらいの年齢でその立場になるのは……キツイな。
「最初は……なんでAI開発企業の社長なんかの世話に……と、思った……でも……社長……色々面倒見てくれて……出るに出られなくて……」
「……」
「AIの……せいで……お父さんは死んじゃったのに……私は……AIを作っている人に……助けられている……これじゃあ……私……」
どうしよう、ミオちゃんは涙ぐんできたのか、声が震えている。
こ、こういう時、どういう風に声を掛けてあげたらいいんだろう?
そ、そうだ!
「グローディ、ちょっとお願いがあるんだけど……」
『はい、私にできることならどんなことでもやりますよ』
「じゃ、じゃあ……」
俺はグローディにお願いをして、ミオちゃんに見せた。
『黙って出て行ってしまったのなら、まずはそのことについて謝罪をしましょう、そして、それまでのお礼を述べましょう、また、これから自身がどうするべきか、お世話になった人への恩返しをしましょう』
「……」
グローディは言葉を続ける。
ミオちゃんはグローディの言葉をただ黙って聞いていた。
『AIを嫌ってしまうのは当然の事と言えるでしょう、実際、多くの仕事がAIに奪われてしまうのは事実です、ですが、AIは元より人間が作った存在、将来的にAIが人間を超えることはあり得るとされていますが、現状、AI以上のクオリティを出す手段はいくらでもあります、もしも気になる点があるならば、AIが人間以上に出来ることを提案することもできますよ』
「……」
グローディが語るのをやめると、俺はスマホを下ろした。




