第66話 なぜあの場にいたのか
「あ、あの!!!」
「え?」
ミオちゃんは今まで聞いたことが無いような大声で俺を引き留めた。
「ど、どうしたの?」
「あ、えっと……その……あの……ぼ、僕が……なんで……戦えるのか……知りたい……ですよね?」
「え? ま、まぁね」
気にならないと言えば嘘になる、バレエやってただけであんなに動けるものなのだろうか?
「その……僕、実は……帰る場所が……ないんです」
「……」
そういえば、最初に出会った時も、それっぽい雰囲気を出していたな。
「あの……工場……実は……僕の……実家……なんです」
「実家? 実家が町工場だったってこと?」
「はい…‥自動車の……部品……作ってました」
「へぇ……」
だが、あの工場は既に廃工場に……ということは。
「……順風満帆で……大手企業とも……取引してました……僕も……バレエ……やったり……比較的……裕福でした……でも」
「……取引先から契約を切られた?」
「はい……それも……『最先端のAIを搭載した工場に変える』……とか言われて……」
「……」
そういえばミオちゃん、社長さんが自己紹介をしたとき、妙に避けてたな……
「お父さんは自殺……お母さんは行方不明……僕は……どうしようもなく……出て行った」
「それで……どうやって生活してたの?」
「幸い……拾ってくれた人がいた……年上の……女の人」
「女の人?」
「はい……有名な……家出の……スポットに顔を出してみたら……拾われました」
有名な家出のスポット……そういえば、都市部の繁華街の広場が壮うので有名と聞いたことがあるな。
だとしたらミオちゃん危なすぎるだろ……あそこって事件が頻発してるって聞くし。
「その人に……護身術とか……教えてもらったり……色々……面倒を見てくれました」
「なるほど……」
だからあんな風に戦えたのか……にしては運動神経が良すぎると思うんだが。
……待てよ、じゃあ……
「じゃあなんで、あの時地下鉄に?」
「それが……その女の人……消えた」
「消えた?」
「はい……突然……連絡が来て……『客と揉めた』って……」
「客?」
「はい……その人……ちょっと……怪しいビジネスしてました」
「あっ……」
そ、それ以上は聞かない方がよさそうだな。




