第63話 氷のトカゲ
「行こうミオちゃん」
「は、はい……」
寒いが、体を動かしていればその内暖かくなる……はずだ。
「そういえば、ミオちゃん……その……」
……なんであんな書置き置いて出て行ったの? そう聞こうと考えたが、恐らく言いたくないであろう……そうだ。
「そういえばミオちゃん、この辺工場街だけど……なんであの廃工場に?」
飛び出したという事は、普通に考えれば遠くに行くはずだ。
ミオちゃんは恐らく社長さんから金もそれなりに貰っている……はずだ。
だったら電車で遠くへ行くことも可能なはず、地下鉄は他の私鉄と直通しているから、他県に行くことも可能なはずだし……
「えっと……その……」
ミオちゃんは……下を向いて立ち止まってしまった。
これは……答えたくない?
「あぁ、ごめん、答えたくないならいいよ」
あんまり聞かない方がいいかもな、とにかく今は前へ進もう。
「そういえばミオちゃん……武器は?」
最初に会った時、ミオちゃんはハサミとカミソリで戦っていた。
それに怪物を一掃する戦闘能力……非力な俺よりも実力はありそうだ。
「大丈夫……ここに」
どうやらすぐ出せるようにポケットに仕舞っていたらしい。
凄い準備万端だな。
「そういえばミオちゃん、この間の時も随分動いてたけど……バレエやってただけであんなに動けるもんなの?」
バレエを1ミリも知らない俺でも、ああいう風に踊るわけがないというのは分かる。
確かに身のこなしは踊っているようだったけど。
「あの……実は……僕……」
ミオちゃんが何かを言おうと口を開いた……その時、グローディ入りの携帯から謎のアラームが鳴った。
『警告! 警告! 謎の生命体反応あり!』
え!? なにこれ!? こんな機能あったか!?
ていうか生命体反応!? どこに……あっ。
「あいつらか……」
比較的遠い位置にいたが、明らかにこの星に存在しえない生命体がいる。
氷のような肌を纏うトカゲのような生命体、そんな奴らが群れを成していた。
「ミオちゃん……言うまでもないけど、戦える?」
「……はい!」
ミオちゃんは、迷うことなく答えた。




