閑話 動く闇
「ここが……この世界の街……眩しい……」
とある日の夜の街、金色の髪を靡かせながら歩く一人の人物。
黒の衣服を身に纏ったその人物は夜な夜な繁華街を徘徊していた。
「それにしても謎だ……何故ダンジョンが現れているというのに、こいつらは平然としている……」
謎の洞窟が現れた直後、政府は外出自粛を呼びかけたが、数週間もしないうちに解除され、街にも徐々に人が戻り始めた。
最初こそ「こんな状況で遊ぶのは……」という気持ちがあった人々も、開き直って遊ぶようになり、この繁華街も以前ほどではないが、盛り上がりを取り戻しつつあった。
「よ、そこの人! ウチどうです?」
そんな中、客引きの男が笑顔で金髪の人物に声を掛ける。
この男は繁華街に流れる違法な客引きの注意喚起を気にも留めず、お構いなしに声を掛けていた。
「最近洞窟騒ぎがあったもんで、皆さんに元気になってもらおうと思いましてね! どうです? 1200円ですよ! 1200円!」
金髪の人物は……その言葉にどこか憤りを見せた。
「……おい貴様、何がそんなに楽しい?」
「……はい?」
客引きの男は予想外の答えに困惑していた……
金髪の人物はそれが気に入らなかったのか、客引きの首を掴み、路地裏へと運んだ。
「ぐえ……」
男はそのまま、壁に押し付けられた。
男は抵抗するも、金髪の人物の力に抗えなかった。
「おい……何がそんなに楽しい……何故ここの連中は楽しそうにしている!!」
「く、苦しい……」
「答えろ!! 何がそんなに楽しいと聞いているんだ!! 何が楽しいんだ!!」
金髪の人物は、何度も男を壁に叩きつけていたが、男は答えることは無かった。
……金髪の人物の質問に、男は答えることができず、白目をむいて気絶してしまった。
「クソ……」
金髪の人物は、男を尻目に、街中へと消えた。




