第23話 会話
「よし、じゃあ私はお茶を用意しよう」
「あぁ、じゃあ俺も」
「あぁ待て、お前とミシェールは客だろ? そこに座ってろ」
「でも仮にも泊まらせてくれるわけだしよ……」
「良いから座ってろ、気にするな」
「いやでも……」
「お座り」
「はい」
社長さんの圧に負け、俺は椅子に腰を掛けた。
社長さんはジャスミンさんの後を追うように裏へと向かった。
ミオちゃんは部屋に来てからずっと椅子に座って怯えている……ちょっと話し掛けたほうがいいかな?
「ミオちゃん、びっくりだよね、こんなデカい家に泊らせてもらえるなんてよ」
「はい……」
「あの……ミオちゃんって、好きな食べ物とかある? 夕飯で嫌いなものあったら俺が食ってやるよ」
「ないです……」
「あ、そう……」
「……」
「……」
ダメだ、会話が続かない、ただでさえ俺も話すことはあまり得意ではないのに、口数が少ない人と話すなんて至難の業だ。
どうしよう、若い子と接するのって難しいな……。
こういう時、話し好きだったり陽キャっぽい人だったらうまく切り抜けられるのであろうか……。
そうだ、こういう時はとりあえず褒めよう。
「俺卓球やってたんだけどさ、ミオちゃんって何かスポーツやってたの? ミオちゃんの戦いぶり、まるで舞うように美しかったよ」
こ、こんなんでどうだ? 別に嘘は言ってないし。
ミオちゃんの動きはまるでフィギュアスケートというか、社交ダンスというか、その辺の踊り系のように思えた。
さっきはダメだったけど、今回はどうか……。
「……美しかった……ですか? 僕が……?」
お、食いついた?
「お、おう! なんて言うんだろうな……ベタな表現だけど、蝶のように舞いハチのように刺すみたいな?」
……星条旗の国のボクシング選手のような表現をしてしまったが……ミオちゃんの顔は先ほどとは打って変わってパッと明るくなったかのように見えた。
「僕……かっこいい?」
「お、おう、カッコ良かったよ」
「……ほんと!?」
ど、どうしたんだ? ミオちゃん、すごい嬉しそう……しかもこっちに寄ってきてる……近い近い……
「じ、実は……僕、バレエやったことある……だから……美しい?」
「へ、へぇ、そうなんだ」
ベレエの動きではなかったように思えるが、変に否定しない方がいいだろう、うん。
……急に熱くなったミオちゃんだったが、一通り話して落ち着いたのか、徐々に顔が暗くなっていった。
「……ミオちゃん?」
「あの……為朝さん」
「どうしたの?」
「えっと……僕」
「うん?」
「……」
どうしたんだ突然? 何か言おうと思ったらまた黙ってしまったが……
「……やぁやぁ、お二人さんおまたせ、実は美味しい緑茶を……おや?」
沈黙の時が流れる中、社長さんがお茶を持ってきた。
ミオちゃんは社長さんが来るや否や、また離れてしまった。
「なんだなんだ、トム、ミシェールと……」
「いや、そういうのじゃないから」
「そうなのか?」
どういう勘違いしてんだよこいつ……
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