第19話 迎え
「仕方ない、グローディ、『ジャスミン』に連絡できるか?」
『かしこまりました、只今電話をいたします』
……ん?
「ジャスミンってなんだ? お茶か?」
「違う、私の所の使用人だ、迎えに来させる、お前らも来い、腹減ってるんだろう?」
「まぁ……」
「なに、どうせ地下鉄も動いていないし、直に道路も混雑してしまうだろう、今日は私の家に泊っていけ」
「あんたの家?」
流石に世話になるのはちょっとなぁ……。
「僕……賛成」
「よし、トム、お前は?」
「俺? うーん……」
まぁ確かに帰れないだろうし、さっき飲み物奢ったお返しと考えりゃ、得かな。
「わかった、俺も行くよ」
「いい返事だ……っと繋がったな、もしもし? 私だ、実は……」
社長さんは電話で事情を説明し、使用人に迎えに来るよう伝えた。
「じゃ、数分後な、待ってるぞ、駅前の公園入口に頼む……では」
「……話はついたのか?」
「あぁ、車を向かわせた、普段地下鉄しか使わないからあんまり呼ばないがな、とりあえず公園入口まで行こう」
「わかった、ミオちゃん、行こう」
「はい……」
俺たちは空いた容器をごみ箱に捨て、公園を後にした。
☆
「なぁ、社長さん、迎えの車ってどういうのだ?」
歩きながら、社長さんに話し掛けた。
「さぁ?」
「さぁ!? あんた、自分の所有してる車知らないのか?」
「いやだって、さっきも言ったが私は普段公共交通しか使わないからな、車なんて使うぐらいなら歩くし、ほとんど税金対策で買っただけだしな」
こいつとことんケチだな、俺に飲み物奢らせるぐらいだし……。
「ていうかずっと思うんだが、社長さん、随分男っぽい話し方するな」
「そうなのか? まぁ、日本語の話し相手の多くが父親だったからな、その影響かもしれないな」
「お母さんは話せないの?」
「あぁ、母親はアメリカ人だからな、父親も『何言ってるか分からないけどノリで結婚した』とか言ってたな」
社長さんのこの見た目も母親譲りという事か……ということはその身長も……
「おい、またお前失礼な事考えているだろ」
「バレたか」
「お前顔にすぐ出るタイプだな」
「……よく言われる」
俺も治したいところだが、どうもな……顔に出る、か。
「おっと、多分……あの車だ」
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