第18話 乾杯
「はぁ……色々あって疲れたな」
「はい……」
俺とミオちゃんは駅前にあった公園のベンチに腰を掛けていた。
一方……。
「……未知のエネルギー……会社の利益……私の名声……」
社長さんはかなり落ち込んでいる様子だった。
こいつ金の事しか考えてないのか?
「とりあえず飲めよ社長さん」
「あぁ、わかった……」
社長さんはそう言ってエナジードリンクのキャップを開けようとしていた……が。
「すまない、力が出ないから開けてくれ……」
「ったく、世話の焼ける社長さんだ」
社長さんの代わりにキャップを開け、手渡した。
ちなみに飲み物は全部俺のおごりだ、本来社長さんに出す気はなかったが、ミオちゃんだけに出すのは癪だったので出してあげた、なんかめちゃくちゃ落ち込んでるし。労いを込めて乾杯でもしよう。
とりあえず皆無事だったわけだから、
「ミオちゃん、社長さん、乾杯でもしようぜ」
「はい……」
「ほら、社長さんも」
「……別に宴会じゃないんだが?」
「いいから、ほら乾杯」
ミオちゃんはペットボトルのジュース、俺はペットボトルの水。
配色の違う飲み物を重ね、お互いに喉を鳴らしていった。
「ぷはー! やっぱり人の金で飲む飲み物は格別だな!」
「いや、あんた仮にも年長で金も俺より持ってんだろうが……」
こいつプライドとか持ち合わせてないのか? こいつにとっては金がすべてなのだろうか? 資本主義が服を着て歩いているみたいだな。
にしても社長さんの探していた未知のエネルギーの宝石、どこ行ったんだろうな。
確か俺が最後に見た時は社長さんの手の中にあったように見えたが。
「あの……為朝さん」
「どうしたの? ミオちゃん」
ジュースを飲み干したであろうミオちゃんが、俺に耳打ちしてきた。
「僕……思った……あの社長さん……宝石持った……瞬間……洞窟……」
「あっ……」
そうか、確かにそうだ。
社長さんがあの宝石を手に取った瞬間、洞窟にノイズが走って、そんで俺たちは地下鉄の駅に……。
「なぁ社長さん、まさかだと思うが、あの宝石が洞窟の源……とかないか?」
「どういうことだ?」
「いや、あんたが手に取った瞬間、洞窟に変なノイズが掛かって、気が付いたら地下鉄の駅に戻ってたろ?」
「そういえばそうだな……ちょっと待て、グローディ」
そういうと社長さんは、携帯からグローディを呼び出した。
「さっき解析した宝石……あれが私たちがさっきまでいた洞窟を、VRのように映していた……という可能性は考えられると思うか?」
……VRみたいに? つまりあの宝石が俺たちに幻影のようなものを映していたとか、そういうことか?
『それは面白い考えですね! ですが、可能性としては低いです、理由としては、先程皆さまがいた洞窟の物質は幻影などではなく、ちゃんと実態として存在していました、確かにあの宝石は強いエネルギーを発し、そのような幻影を写すことも不可能ではないと考えられますが、少なくともその仮説には考案の余地があるでしょう』
なるほどな、確かにグローディの言い分は一理ある。
あの洞窟、あの怪物、確実に存在していた、感触も残っている。
だが幻影っていう線も無くはないかも……まさか、あれがそれらを生み出していた……とか?
そんな考案をしていると、腹の虫が3連奏をして公園に響き渡った。
「……腹減ったな」
「同感だ」
「僕も……」
色々やっていて安心しきっていたのもあるだろう、食欲がわいてきてしまっている。
つってもこの辺に飲食店は歩かないと無いし、どうしたものか……。
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