第16話 光
「凄いぞ! トム! ミシェール! 見てみろ!」
社長さんは興奮気味にこちらに手招きをしている……星空のように目を輝かせながら。
「見ろ! これを!」
「なんだよ……おぉ」
ようやっと社長さんのところまで着き、俺とミオちゃんも光を見た……それの正体は。
「なんだこれ……宝石か?」
「凄いぞ! こんな小さな石ころがエネルギーの正体らしい!」
「これが?」
「あぁ! グローディ! もう一度この宝石を解析してくれ!」
『はい、改めて解析します』
社長さんの命令で、グローディは赤外線を出して解析をし始めた。
『この物体は、莫大なエネルギー反応が出ています』
「それはどういうものなんだよ、まさか危ないやつじゃないだろうな?」
「まぁ、落ち着けトム、グローディが解説してくれるから」
いやいや、エネルギー放ってるってそれって放射線とかそういう類じゃないだろうな?
『ウラニウムのような元素に近いですが、この物質にはそのような不安定な要素は見つかりません、この物質は、この地球には存在しないものである可能性が高いです』
「な? すごいだろトム! これは世紀の大発見!! この物質を我が社が独占すれば、この国……いや、世界を掌握したのも同然だ! 私を解雇しやがったエロンのクソ野郎をギャフンと言わせてやれる!」
「おいおい社長さん……」
「なに? お前も対価が欲しいか! なに、お前に我が社の株をタダで与えてやるぞ! ミシェールにもあげてやろう!」
「いやそうじゃなくてよ……」
社長さん、こういうのは慎重になった方が良いと思うんだが、経営者にとっては利益を先送りに出来ないという事なのだろうか?
「とにかくこの物質を持ち帰ってみないとな!」
「おい、そんなすぐに採取しようとしなくても……」
「何を言っている! 目の前に金のなる木があるんだぞ! そんなもの、経営者として見逃せるか!」
「あっ!」
社長さんは輝く宝石を手に取った。
「やったぞ! これで……大金が……」
社長は金のなる木を嬉しそうに見ている……やれやれ、この社長さんは資本主義を体現しているみたいな人だな、呆れた。
でもそんなもの手にしたところでここから出ないと……。
「……あの……為朝さん」
「ん? どうしたの?」
「……上」
「上?」
ミオちゃんが指を差した先……洞窟の天井を見ると、確かにおかしな点があった。
「なんだありゃ、変なノイズみたいなのがあるぞ! おい社長さん!」
「ん? なんだ、私は今会社の未来を……えぇ!?」
妄想に耽る社長さんも洞窟の異変に気が付いたようだ。
……というか、段々ノイズが大きくなっているし、気づけば周りにも……というか、なんか消えていってないか!?
「おい、やばいぞ! 社長さん、それ取ったのが原因なんじゃ……」
「私のせいか!?」
「だってあんたがそれを取ってから……ってもう、すぐそこまで来てるじゃねぇか!」
「くっ! 集まれ!」
俺たちは身を寄せ合った、無意味だと思われるが、これ以上最善の策が思いつかなかった。
「クソ……どうなっちまうんだ……」
「なんだか……眩しい……」
やがてノイズは光へと変わっていき……俺たちはそれに飲まれてしまった。
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