第14話 鞍馬ミオ
「……あっ、やべぇ!」
ふと後ろを見ると、大変なことが起きていた。
物陰に隠れていたはずの女の子が、怪物に両腕を掴まれていたのだ。
まずい、このままじゃあの子が……咄嗟に俺は走り出した。
「おーい! 今助ける……」
助けようと炎を放とうとした、その時、女の子は怪物の力をものともせず、両腕を押し出して拘束から抜け出した。
そしてそのまま、後ろ蹴りをお見舞いしたのだ……怪物は呻き声を上げて消えた。
えぇ……す、すごい。
そして女の子は、徐に自分のバッグを開け、何かを取り出した。
あれは……カミソリと、ハサミか? おいおいおい、戦うつもりかよ!?
華麗に俺をスルーしたかと思えば、女の子は社長と戦っていた怪物どもに蹴りをお見舞いした。
かと思えば、構えた刃物を使って奴らを刺したり切ったりしだし、また蹴りをお見舞いしたり……その様は、まるで華麗に踊っているようだった。
「なぁ、トム」
「あぁ、言いたい事は分かるぜ、社長さん……」
あの子……戦えたのか。
じゃあなんでスライムの時は窮地に立たされていたんだ? と、考えたが、あいつらはグローディが分析していた通り、炎攻撃ぐらいしか通用しないのだろう。
女の子の戦闘能力にビビった怪物たちは、逃げようとしたが、女の子はそれを見逃さず、一掃していった……。
「す、すげぇ……」
俺は思わず拍手してしまいそうなぐらい感心してしまった。
女の子は、刃物をしまい、再び俺の後ろに直った。
いや、戦えるなら前に出てくれよ、なんでこの期に及んで……。
「なぁ、大丈夫か? 君……」
「……ミオ」
「はい?」
「僕の名前……鞍馬ミオ……」
鞍馬……ミオ? それが名前?
「ようやっと名乗ったか、そうだな……ミオだから、ミシェールって呼んでもいいかい? 私は日本の名前を呼ぶのに慣れてなくてな」
「好きに……して」
やっぱり社長さんとは目を合わせたくないのか。後ろに隠れてしまった。
「まぁ、とりあえず行き止まりとやらに向かおうぜ、この先には怪物はいないだろうしよ」
「だな、行こうか」
「改めてよろしくね、ミオちゃん」
「うん……よろしく……為朝さん」
お、俺の名前を呼んでくれた。
社長さんと比べて俺には信頼を寄せているのか? 嫌じゃないが、なんでそこまで社長さんを避けているのだろうか?
そんな事を考えながら、歩き続けた。




