第9話 放浪
「グローディ、前の方に生命反応は?」
『前方の生命反応を確認します……生命反応は確認できませんでした、今一度詳しく確認することもできます』
「いや、大丈夫だ……行くぞトム」
数キロほど前へ進んだらAIで生命反応を確認し、大丈夫そうなら前へ進む……それの繰り返しだ。
「今んとこさっきの怪物も、地下鉄に乗っていた他の客もいないな、俺逆に不安だぞ」
「気持ちは分かる、もしかすると怪物に襲われて既に……」
「おい、社長さん、あんまそういうのは……」
「馬鹿、最悪の事態は常に推定しておくものだ、無論そうならないことが一番だが、現実的に考えると……」
「あぁ、わかったよ、ちょっと怖くなってな……すまん、ちょっと休まないか?」
仕事の疲れ、さっきの先頭の疲れ、色々あって頭も体も疲れてきた……。
足を止め、冷たい地面の上に座り込んだ。
「……まぁそうだな、一旦休むか、私はまだまだ行けるが……」
おいおい、どんだけ体力あんだよ、俺より年上とは思えないな。
「にしても、どこまで進めばいいんだよ、そろそろ8番出口とか出てくれないのか?」
「それどころか上に繋がる階段や坂すらいないな、安全な場所も見えてこない……だが、歩き続けないと何も進まんぞ」
「そりゃ当たり前だけどよ……」
なんか同じような道をぐるぐる回っているように見えてくる。
疲れるのもそうだが、退屈だ。
「……そうだ、次はお前がグローディを使ってみろ、トム」
「俺が?」
「なに、私も先頭を歩くのに飽きてきたところだ、お前がやってみろ」
「あぁ、まぁいいけどよ」
社長さんも俺が飽きてきたことを察したのか、グローディとやらが入ってくる携帯を手渡してきた……と、俺の手に携帯が渡った次の瞬間、手招きをしてきた。
なんだ? 何か言いたい事でもあるのか?
俺は小さい子に話し掛けるように、屈んで目線を合わせた。
「……いいか、トム、もしも私の愛しい我が子を傷つけたら……『コレ』だぞ」
社長さんは、『コレ』といいながら、親指で首を斬る仕草をした。
うぉ……それは確かに怖いわ、豆腐のように丁重に扱わないとな。
携帯を受け取り、前へと突き出した……えーっと、社長さんは確か……
「……グローディ、前の方の状況を確認してくれ」
『かしこまりました、ただいまより、前方の状況を確認いたします』
さっきと同じように、携帯からセンサーが飛び出して解析を始める。
多分さっきと同じように何も……。
『生命反応を確認、人間が推定1名、その他、低体温の生命体を5体確認しました、ここから300m先の地点です』
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