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悪意のある普遍的な思想

盲目の独りぼっち

作者: レー・NULL

 眼を閉ざしたのなら、独りぼっちだという事でしょう。人類皆眼が見えていないので、全ての人は独りぼっちという事でしょう。悲しさのあまりに生じる叫びは、誰の耳に届く事は無く。寂しさ故に振るわれる足掻きも、誰の目に届く事は無いという事です。


 苦しく、悲しく、ただ一人。誰かの視界の中へ囚われてくれるのであれば、これ以上の救いとなりうるでしょうか。例えその身を縛る拘束であろうとも、それを愛し慈しむ事さえ出来るでしょう。しかしその視界に在るものは。苦しく、悲しく、ただ一人。その孤独という自由に放り出されているんです。


 誰かの手により掴まれ、縛られ、閉ざされるなら。その手を愛する事が出来るという事に他ならない。そうであってほしいという妄執の果てに、もし縛るものがあるのならば、それは己の手に過ぎず、生じる痛みは無意味なものです。捕えるものが無いが故に、縋るもの無い解放なのです。


 夜空を見上げるならば、その際限の無さに永遠と自由になれるのでしょう。何かに捕らわれる必要も無く、限りの無い解放となるのでしょう。数多に選ぶことの出来る選択肢は、貴方の首を絞め、苦痛の中に置き去るのです。それが自由の元に増える程に、盲目である事を羨むでしょう。


 何も見えなくて、認識できなくて、一人でいるのも苦しいんだ。誰かの視界の中に閉じ込めて欲しいんだよ。私を眼の中へ閉じ込めてくれるのであれば、ようやくこの苦しみから解放されると思うんだ。

 それなのに、私を含めて皆盲目で、誰もが自分しか視界の中へ閉ざす事が出来ない。救われたいのだけど、救いをもたらしてくれる人は、きっと居ないんだろうね。


 苦しく、悲しく、ただ一人。自身の視界の中には自身しかいない事、どうしようもない絶望ではありませんか。その身を縛るもの等在りはせず、自由にどのようにも成れるでしょう。その眼の前には、手の中に表す事の出来ないほどの選択肢がある筈です。それは、どうしようもないほどに、苦しく辛いものでしょう。


 この孤独を呑み込んで、身体を蝕む毒に蝕まれながら、盲目で冷たい世界を生きるだけ。数多の選択肢に導かれながら、より多くの苦しみに翻弄されて、縋るもの無い自由の中で独りぼっちなんです。

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