49話 魔炎の支配者
荒野に入った俺たちは、地図を頼りに侵略者の幹部「魔炎の支配者」の拠点を目指した。
砂埃が舞い上がる中、遠くには砦の影が見え始める。
「これが奴の拠点か....見た目はそれほど大きくないな。」アルディアが手にした望遠鏡で岩を観察する。その外観は朽ちた石造りの岩だが、内部からは異常な熱気が漏れ出している。
「油断しないで。あの熱気が魔炎の支配者の力だとしたら、正面突破は危険よ。」
葵が冷静に分析を加える。
砦の外周を回りながら、隙間を探す俺たち。壁の一部が崩れている箇所を発見し、そこから潜入することに決めた。
「すり抜けバグを使えば、無駄な接触は避けられるはずだ。」
俺は壁に手を触れ、意識を集中させる。感覚が研ぎ澄まされ、身体が壁をすり抜けるように内部へと入り込む。
「成功だ。」
一足先に砦の内部に侵入し、周囲を確認する。続いて、仲間たちも慎重に侵入してきた。
内部はまるで熱の地獄だった。壁からは赤い光が漏れ出し、床には溶岩のような液体が流れている。砦全体が魔炎の支配者の力によって歪められていた。
「気を付けて。この空間そのものが奴の領域だと思った方がいい。」
葵が杖を構え、魔法で周囲を探知する。
「来るぞ!」
アルディアが剣を抜くと同時に、溶岩から巨大な炎の獣が姿を現した。その体は燃え盛る炎でできており、目には邪悪な光が宿っている。
「まずはこいつらを片付ける!」
俺は腕伸ばしバグを発動し、距離を取りながら炎の獣に剣を叩き込む。その一撃で炎の一部を切り裂くが、獣はすぐに体を再生させる。
「再生能力があるのか...。手こずりそうだな。」アルディアが舌打ちしながら突進していく。
「じゃあ、生する前に一気に仕留める!」
葵が魔法で冷気を発生させ、炎の獣を一時的に凍らせる。
その隙に、俺は剣を振り下ろし、獣の中心部を叩き割る。炎が消え、獣は完全に崩れ落ちた。
戦闘が終わると同時に、岩全体が揺れ始めた。足元から火柱が立ち上がり、天井が崩れ落ちる。
「待ち構えていたか...!」
目の前に現れたのは、全身を燃え盛る炎で包んだ魔炎の支配者だった。その体は人型をしているが、頭部には二本の大きな角があり、目は赤く輝いている。
「侵略者の王に逆らう愚か者どもめ。この地で灰となるがいい!」
魔炎の支配者が手を掲げると、岩全体の炎がさらに激しく燃え上がる。
「ここが奴のフィールドか...!」
俺たちはそれぞれ武器を構え、魔炎の支配者に向かって突き進んだ。
魔炎の支配者の攻撃は凄まじく、巨大な炎の剣を振り下ろすたびに地面が裂け、溶岩が噴き出す。その力に押されながらも、俺たちは連携して反撃を試みる。
「今だ、すり抜けバグ!」
俺は魔炎の支配者の背後に回り込み、剣を振り下ろす。しかし、奴は炎を纏った盾でそれを防ぎ、さらに反撃の火球を放ってきた。
「まだ終わらない!」
葵が氷の魔法で火球を相殺し、アルディアがその隙を突いて剣を振り抜く。
「長期戦になるぞ、気を抜くな!」
俺たちは力を合わせ、魔炎の支配者との激問を繰り広げた。この戦いの結末がどうなるのかは、まだ誰にも分からないーー。
岩全体を熱地獄に変えた魔炎の支配者。奴の一挙手一投足が周囲を崩壊させ、まともに近づくことすら困難だった。それでも俺たちは諦めず、隙を探して戦い続けた。
魔炎の支配者が巨大な炎の剣を振り下ろすたび、地面が裂け、炎の壁が立ち上がる。
「これじゃまともに攻撃できない!」アルディアが剣を構えつつ、周囲を戒する。
「なら、こっちもフィールドを変えるしかない!」
葵が杖を掲げ、冷気の魔法を発動させた。岩内に氷の霧が広がり、灼熱の空間が一瞬だけ沈静化する。
「ナイスだ、葵!」
俺はその瞬間を逃さず、腕伸ばしバグを使って魔炎の支配者の側面を狙った。剣を振り抜き、奴の肩口を切り裂く。
しかし、切り裂いた部分はすぐに炎で再生される。
「まだまだ...終わらせないぞ!」
俺は再び剣を握り直し、魔炎の支配者に向かって突き進んだ。
「愚かな者どもめ。抗うだけ無駄だ!」
魔炎の支配者が地面に手を突き立てると、巨大な火柱が皆全体を貫いた。その勢いに俺たちは吹き飛ばされる。
「ぐっ...なんて威力だ...!」
俺は地面を転がりながらも必死に体勢を立て直す。
「このままじゃ持たないよ!」
葵が顔をしかめながら叫ぶ。
「なら、一か八かだ!」
俺はびすり抜けバグを発動し、魔炎の支配者の真正面から突っ込む。
すり抜けバグを利用し、奴の炎の盾を無効化して一気に懐に入り込む。剣を振り上げ、その胸元を一関する。
「くらえ!」
剣が奴の胸を買いたかに見えたが、魔炎の支配者の体が爆発し、俺は吹き飛ばされた。
「くそっ....本体はまだ無傷なのか...?」
奴の声が再び響き渡る。
「その程度では、私の核には届かぬ。」
「核....?そうか、奴の体は幻影のようなものかもしれない。」
俺は奴の攻撃をかわしながら、内部のどこかにある「核」を探ることにした。
「葵、アルディア!奴を足止めしてくれ!」
「任せろ!」
アルディアが剣を構え、挑発するように突進する。葵も氷の魔法で奴の動きを封じようと試みる。
その隙に、俺は砦内部を駆け回り、すり抜けバグを活用して隠された核を探した。
「どこだ...どこにある!?」
岩全体を調べる中、床の奥深くに異様な光を放つ結晶体を見つけた。
「これが奴の本体か!」
俺は結晶体に向かって剣を振り下ろした。しかし、その瞬間、魔炎の支配者の分身体が現れ、俺の攻撃を防ぐ。
「そう簡単には壊させん!」
奴の声が響き渡る中、俺は手びすり抜けバグで分身体を通り抜け、結晶体に剣を突き立てた。
「これで終わりだ!」
剣から放たれたエネルギーが結晶体を貫き、砦全体が崩れ始める。
「やったか...!」
俺が息を切らして振り返ると、魔炎の支配者の体が炎とともに消滅していく。
「ふう...これで一つ脅威を取り除けたか。」アルディアが肩で息をしながら言う。
「でも、まだ終わりじゃないよ。侵略者の本拠地はこれ以上に厳しいはず。」
葵が慎重な表情を浮かべる。
「そうだな。でも今は、一旦戻って準備を整えよう。」俺たちは砦を後にし、新たな戦いへの決意を胸に抱いた。
侵略者との戦いはまだ始まったばかりだったーー。




