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45話 幹部



守護者を倒し、神殿の闇が完全に消え去った後、俺たちはその先へと進んだ。神殿の奥には、暗闇の中に輝く黒い結晶が静かに浮かんでいた。その結晶からは、何とも言えない邪悪な気配が漂っており、周囲を圧迫するような重苦しい空気が広がっていた。


「これが…黒い結晶か。」


アルディアがその結晶をじっと見つめ、眉をひそめる。その表情からも、その結晶がただならぬ力を秘めていることが分かる。


「そうだ、これを封印しなければならない。」


俺は覚悟を決めて、結晶に近づいた。その黒い輝きは、まるで俺を引き寄せるかのように揺らめき、目を離すことができなかった。


「でも、どうやって封印するんだ?」


葵が不安そうに尋ねる。確かに、あれだけの力を持つ結晶をどう封印すべきか、俺たちにはまだ具体的な方法が分からなかった。


「俺が…封印の儀式を行う。」


その言葉に、葵とアルディアが驚いた顔をする。


「お前が!?でも、あれだけの力をどうやって…」


「俺の新たな力を使えば、何とかなる。」


俺はそう言うと、剣を構え、力を集中させる。新たに得た力が、まるで血液のように体を巡り、剣に集まっていくのを感じた。それは、守護者との戦いで培った力、そして今までの試練を経て得た強大なエネルギーだ。


「封印の儀式、始める!」


俺は一気に剣を結晶に向けて振り下ろす。その刃が結晶に触れた瞬間、黒い結晶が激しく震え始め、周囲の空気が一層重くなった。だが、その結晶は俺の力に反応し、少しずつその輝きを収束させていく。


「うおおおおお!」


俺の叫び声とともに、結晶が砕けることなく、その力を押さえ込むように静かに収縮していく。光が薄れ、最終的に結晶は完全に封印された。


「…これで、黒い結晶は封印された。」


俺が深く息を吐きながら振り返ると、葵とアルディアも安堵の表情を浮かべていた。


「終わった…本当に、終わったんですね。」


葵がほっとしたように呟く。


「これで神殿は完全に役目を果たしたな。」


アルディアも同じように頷き、俺たちはその場に立ち尽くした。


「さあ、帰ろうか。」


その言葉とともに、俺たちは神殿を後にする。そして、長い冒険を終えた俺たちは、再び現実の世界へと足を踏み出す。


神殿を後にした俺たちは、すぐに街へと向かう準備を始めた。試練を終え、黒い結晶を封印したことで、この場所にはもう何も残っていない。今、俺たちが求めるべき場所は、無事に帰ることだ。


「帰る前に、何か伝えたいことがあるか?」


葵が少し照れたように聞いてきたが、俺はすぐに答える。


「いや、ただ…皆と一緒に戻れることが嬉しい。」


その言葉に、アルディアが軽く笑って頷く。


「そうだな。ここまで来るのが本当に長かった。」


神殿の外に出ると、街の風景が遠くに見え始める。遠くの街並みが、あたかも我々を待っていてくれるかのように輝いていた。


「もう少しで、あの街に戻れる。」


俺はそれを見ながら、これから始まる新しい日常に思いを馳せる。試練は終わった。だが、これからの人生がどんなものになるのかは、まだ分からない。


「次は何をしようか?」


葵が興味深そうに言った言葉に、俺は少しだけ微笑む。


「まずは、ゆっくり休んでからだな。」


そして、街へと足を進めた。試練を終えた今、俺たちの新しい冒険が始まる予感がした。


街に帰還した俺たちは、ようやく休息を取ることができた。しかし、あの神殿での試練が終わったことで、俺たちの世界に新たな影が迫っていることを、誰もが感じ取っていた。


その日、俺は街の広場で一人、考え事をしていた。試練を終え、結晶を封印したことで一時の安息を得たが、心の中には常に不安が残っていた。黒い結晶の力を封じ込めたとはいえ、その背後に潜む真の敵がまだ見えないのだ。


「また、あいつらか…。」


俺が独り言を漏らすと、その瞬間、背後から足音が聞こえた。


「やあ、元気そうだな。」


振り返ると、そこにはアルディアと葵が立っていた。二人とも笑顔を浮かべているが、目はどこか冷徹で鋭い。


「試練が終わった後、どうする?」


アルディアの問いに、俺は肩をすくめた。


「とりあえず、平和が戻ると信じたいけど、どうだろうな。」


その時、突然、空が暗くなり、雷の音が響き渡った。


「これは…?」


葵が空を見上げると、そこに現れたのは、巨大な影だった。空を覆うようにして、巨大な黒い船が浮かんでいた。それは、これまでに見たことのない、異次元の力を感じさせる存在だった。


「また、奴らか…。」


俺がそう呟いたその瞬間、黒い船から複数の人影が降り立った。その中でもひときわ目立つ男が一歩前に出てきた。


「お前たちが…守護者を倒したか。」


その男は、異常なまでに冷徹な眼差しを向けてきた。その顔には鋭い刃物のような特徴があり、全身から放たれるオーラは圧倒的だった。彼は、侵略者の王の幹部の一人に違いない。


「俺は『鋼の黒閃』、この侵略者の軍団の幹部だ。お前たちが封印した黒い結晶、あれが我々の計画の一部だということを知っておくがいい。」


「お前が…。」


俺はその男を見据えるが、何か予感がした。戦闘が避けられないことを、直感的に感じ取ったからだ。


「お前たちが黒い結晶を封印したことで、計画は遅れた。しかし、それは一時的なものに過ぎない。俺たちはもうすぐ、この世界を支配する力を手に入れる。」


鋼の黒閃は冷徹な笑みを浮かべると、手を振った。


「だが、俺たちの力を見せてやる。」


その瞬間、彼の周りに強烈なエネルギーが渦を巻き始め、空間が歪み始めた。まるで、周囲の空間がその男の力に引き寄せられるように、次第に大きな渦となり、目の前の景色が崩れていく。


「気をつけろ!あれはただの威嚇じゃない!」


アルディアが警告の声を上げるが、もう遅かった。鋼の黒閃が手を大きく振り上げると、突如として目の前に巨大な黒い槍が出現し、俺たちに向かって突進してきた。


「避けろ!」


葵の声に反応し、俺たちは一斉に横に飛び退いた。しかし、その槍は空間を切り裂くようにして動き、俺たちが避けた先に向かって再度進んでくる。


「このままでは、街が壊れる!」


俺はその槍を止めるべく、剣を構えた。だが、その攻撃は俺一人では止められないほどの威力を持っていた。周囲の建物が次々に崩れ落ち、地面が震える。


「さあ、どうする?」


鋼の黒閃が冷たく言った。その声はまるで俺たちを挑発しているかのようだった。


「お前たちが世界を支配する前に、俺がその夢を打ち砕く!」


俺は意を決して剣を握り直し、再び前に出る。しかし、彼の攻撃は予想以上に激しく、戦闘は一筋縄ではいかない。


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