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37話 Sランクダンジョン 2



扉を開けると、目の前に広がっていたのは予想を遥かに超える光景だった。巨大な空間、赤く光る空間、そして無数のモンスターたちの影が薄暗い霧の中から現れた。その姿は、これまで見たどのモンスターとも異なり、圧倒的な威圧感を放っている。


「こんな…あまりにも規模が違いすぎる!」


葵の声に、俺も息を呑む。何百、いや、何千匹ものモンスターが一斉にこちらに向かってきた。巨大な触手、鋭い爪を持つ獣、空を飛ぶ巨体…すべてが俺たちに突進してきている。


「無理だ、こんなの…!」


俺は剣をしっかりと握りしめ、立ち向かう準備をするが、敵の数とその力が圧倒的だ。葵が後ろで魔法を唱え、援護しようとするが、モンスターの数に対抗しきれずに次々に攻撃をかわし、反撃を繰り返すしかない。


その時、突然、モンスターたちの動きが激しく変わった。すべてが一気に集中し、巨大なエネルギーを集め始めたのだ。

「これは…!?」


前方のモンスターが集まり、目に見えないエネルギーを高め、まるで巨大な爆発を引き起こすかのように振る舞う。大地が揺れ、空間そのものが震える。無数の触手が鋭く空気を切り裂き、光を集め、巨大なエネルギー弾を発射する準備をしている。


「葵、気をつけろ!その攻撃は…!」


次の瞬間、モンスターの群れから放たれたのは、超巨大なビームだった。そのサイズは、今まで見たどんな攻撃とも比べ物にならないほど巨大で、すべてを飲み込むほどのエネルギーを放射している。


俺はそのビームが直撃するのを避けるために急いで動き、全力で剣を振り下ろす。しかし、逃げることはできない。ビームは目の前に迫り、全てを焼き尽くすように光り輝く。


その瞬間、俺の体内で膨大なエネルギーが一気に爆発的に解放され、周囲の空間が歪んだ。霧の中から黒いエネルギーの塊が湧き上がり、俺の体を包み込む。


「この力…!」


俺の体は一気に強化され、目の前のビームを受け止める準備ができた。剣を高く掲げ、全身に流れるエネルギーを集める。すると、剣から放たれた力が、ビームを迎え撃つ形で激しくぶつかり合う。


「グァァァァッ!」


猛烈な衝撃が走り、ビームと剣の力が交錯する。しかし、俺の力が暴走し、周囲の霧が一気に膨張する。霧が爆発的に広がり、巨大なエネルギーを放出する光景はまるで天変地異のようだ。


その力に巻き込まれたモンスターたちは、まるで何もかもを消し去るかのように、次々に倒れていく。しかし、ビームの衝撃で大地が揺れ、今度は巨大な爆発が空間全体を揺るがす。


「くっ…!まだ…!」


俺は力を振り絞り、さらに強化された剣でそのエネルギーをコントロールし、暴走する力を押さえ込もうとする。しかし、その力は予想以上に強力で、ついには剣から巨大な爆発が引き起こされ、周囲のモンスターを一掃するように吹き飛ばす。


爆発的なエネルギーが収束し、周囲はしばらく静まり返った。その中で、俺の体は完全に覚醒していた。目の前に立つのは、もはやただのモンスターではない。巨大なエネルギーを操る異形の存在が現れたのだ。


「これは…新しい試練の始まりだ。」


俺はその存在を見据えながら、再び剣を握り直す。その剣は、これまで以上の力を秘め、まるで全てを破壊するための武器に変わったようだ。


「いくぞ!」


俺はその力を完全に解放し、巨大なビームを放ち、さらに強力な爆発を引き起こす。空間そのものが崩れ、全てを飲み込むようにして、再び戦闘は加熱していく。


モンスターたちはその攻撃を避けようともせず、直撃を受けて消えていくが、その中で新たな力を感じながら、俺はどこまででも突き進む覚悟を決めた。


第73話:覚醒の先 ― 無限の戦い


爆発が収まり、辺りが煙で包まれる中、俺は膝をつきながらもその力を押さえ込むことができた。周囲の空気が微細に歪み、未だに震える大地と揺れる霧の中で、すべてのモンスターが倒れたわけではなかった。


「これほどまでに強いモンスターが…」


葵が慎重に周囲を見渡し、呟いた。その表情には緊張が浮かんでいるが、それでも俺の暴走した力に助けられたことは確かだった。


「でも、これで終わりじゃないよ。」


突然、霧の中から現れる、さらに巨大な存在があった。それは、まるで神話に登場するような異形のモンスター。先ほどまでのものとは比べ物にならないほど巨大で、頭上に黒い雲を巻き起こしていた。


「まさか…まだ隠れていたのか…!」


その姿を見た瞬間、俺の体が自然と震え、反射的に剣を構える。しかし、そのモンスターは俺たちを威嚇するように、深い咆哮を上げ、空間そのものが揺れ動く。


「この力、感じるか? こいつが試験の最後の障害だ。」


葵が言葉を続け、杖を握りしめた。彼女も戦う覚悟を決めたのだ。


新たな試練の始まり


その巨大モンスターが一歩踏み出すたび、空間がまるで呼吸をしているかのように膨張し、縮む。地面は揺れ、岩が崩れ落ちていく。その巨大な姿は圧倒的な存在感を放ち、どんな攻撃でも簡単には効かないように思えた。


「行くぞ、葵!一緒に倒すんだ!」


俺は叫び、剣を一気に振り下ろした。霊火をまとったその剣は、光を放ちながらモンスターに向かって突進していく。しかし、そのモンスターはただの力任せではない。すべての攻撃を見越して動き、瞬時に触手を振り回し、俺の一撃を避けた。


「くっ…!」


避けきれず、触手に捕らえられた瞬間、モンスターがさらにその力を増してきた。触手が巻きつくたびに、空間そのものが圧縮されていく。俺は力を込めて反撃しようとしたが、次の瞬間、異常な力で圧倒され、地面に叩きつけられた。


「だめだ、こんな力には…!」


その時、俺の中で何かがはじけた。体内に溜まっていたエネルギーが暴走し、全身を駆け巡る。俺の目の前に広がる光景がぼやけ、耳鳴りが耳をつんざく。


「頼む、あきらめないで…!」


葵の声が届く。その言葉が、俺の中で何かを呼び覚ます。もう一度、力を込めて剣を握り、立ち上がろうとした瞬間、体内から湧き上がるものがあった。それは単なる力ではない。これまで感じたことのない感覚、まるで全てを超越した存在に近づいているような感覚だ。


無限の力と無限の戦い


「これが…俺の限界を超えた力だ!」


俺は剣を天高く掲げ、そして一気にその力を解き放った。剣から放たれたエネルギーは、もはや霊火を超えるレベルの力に変わっており、周囲の空間を破壊するように広がっていく。


その瞬間、巨大モンスターの触手が反応し、空間を引き裂くように反撃してきた。しかし、俺の力もそれに負けず劣らず、空間を超える衝撃を放つ。


「これで終わりだ…!」


その言葉とともに、俺はすべての力を解放し、モンスターを一撃で討ち取るために剣を振り抜いた。剣の先端から放たれた光が、モンスターの本体を貫き、爆発的なエネルギーがその場を焼き尽くす。


試験の終焉


爆発が収まり、煙と灰が舞い散る中、俺と葵は立ち尽くしていた。周囲に残ったのは、破壊された大地と、無数のモンスターの残骸だけだった。


「やった…」


葵が息を呑んで呟く。その顔には安堵の表情が浮かんでいるが、俺もまたその力が暴走したことに対する恐れを感じていた。


「でも、これで試験は終わりだろう。」


俺は剣を地面に突き立てながら、疲れた体を支えた。葵も静かにうなずき、その場でしばらく黙って立ち尽くしていた。


その時、空間が再び震え、何かが近づいてくる感覚がした。しかし、今度は違った。試験を乗り越えた俺たちを待ち受けていたのは、新たな世界の扉だった。

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