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11話 深層への挑戦

ダンジョンを探索し続けて数ヶ月、俺は確実に成長していた。以前よりも遥かに多くのモンスターを倒し、ダンジョン内で手に入れた装備やアイテムも豊富になったDランクダンジョンにも潜った。しかし、どんなに強くなっても、まだ不安な気持ちが消えなかった。どうしてももっと強くなりたい、もっと上を目指したい――その思いが常に心の中にあった。


「ねえ、健斗。次、どこに行こうか?」葵が隣で声をかけてきた。


彼女はいつも冷静で、着実に成長している俺を見守ってくれている。だけど、最近は少し不安そうな顔をすることが増えてきた。それは、俺がずっとダンジョンに挑んでいることが関係しているのかもしれない。


「次は、Cランクダンジョンに行こうと思ってる。」俺は真剣に答える。


「Cランク…?」葵が少し驚いたように目を見開く。「でも、それって今までのダンジョンよりもずっと強いモンスターが出てくるよ。慎重に行った方がいいんじゃない?」


「うん、わかってる。でも、これ以上同じ場所にいるのは…もう限界だと思う。」俺は決意を込めて言う。「今の俺なら、きっと乗り越えられると思うんだ。」


葵はしばらく黙って考え込むと、やがて微笑んだ。「じゃあ、行こう。あなたがそれだけ自信を持っているなら、私もついて行くよ。」


俺たちはダンジョン協会の支部に向かい、Cランクダンジョンの情報を集めることにした。そこでは、これまで訪れたことがないモンスターや障害物についての詳細が説明されていた。Cランクは確かに危険な場所だが、俺の成長を証明するためには、避けて通れない道だった。


「よし、準備は整った。」俺は背負っていた装備をチェックしながら言った。「行こう、葵。」


支部を出て、俺たちはCランクダンジョンの入り口に足を踏み入れた。ダンジョンの入り口はひんやりとした空気に包まれており、奥からは faintに不気味な音が響いてくる。モンスターの気配が立ち込めていることが、明確に伝わってきた。


「気をつけろよ。」葵が軽く言った。「何が出てくるかわからないからね。」


「うん、わかってる。」俺は前に進む手を止めずに答える。


ダンジョン内は、薄暗く、岩肌が剥き出しの狭い通路が続いていた。すぐに、影が動くのを感じた。目の前に現れたのは、『ダークゴブリン』。その小柄な体に反して、鋭い短剣を持ち、素早い動きでこちらに迫ってきた。


「くっ、まずい!」俺は慌ててガードの姿勢を取るが、そのゴブリンは予想以上に速い。


「健斗!」葵の声が聞こえ、彼女はすぐに弓を引き絞り、矢を放つ。その矢は見事にゴブリンの肩を貫いたが、ゴブリンは依然として鋭い目で俺に迫ってくる。


「ちっ、まだか…!」俺は一瞬の隙を突いて、突進スキルを発動。加速し、ゴブリンに突っ込んでその場を動かさせた。


「うまく行った!」少しだけ安堵するが、その時、さらに別のゴブリンが後ろから現れる。


「増援か…!」


その後も、次々にモンスターが襲いかかってきた。体力が減ってきたが、ここで引くわけにはいかない。焦りを感じながらも、冷静さを保とうと必死に足掻く。


その時、何か閃いた。


「そうだ…!」


今までのバグ技、床すり抜けに加えて、もう一つ新たな方法が見つけられるかもしれない。突如として、俺の脳裏にアイデアが浮かぶ。これまでの経験を積んできたことで、限界を超える方法が頭の中で結びついたのだ。


「これだ…!」


俺はその瞬間、無限ジャンプのバグ技を発動させる。体が浮き上がると、空中で何度でもジャンプを繰り返すことができる。まるで、無重力空間のように動きが自由になり、モンスターの攻撃をかわしながら、反撃を行う。


「やった…!」俺はその動きに完全に集中し、空中でのアクロバティックな攻撃を繰り広げる。モンスターはその動きに対応できず、一匹、また一匹と倒れていった。


「すごい…健斗、すごく成長してる!」葵の目が輝くのを見て、俺はその場で深呼吸をした。


「でも、これだけでは足りない。次はもっと強いモンスターが出てくる。油断はできないな。」


その言葉通り、ダンジョンは更に深く進んでいく。しかし、この調子なら、俺たちはどんな困難でも乗り越えられる気がしてきた。


ダンジョンの奥へ進むにつれて、俺たちの進行速度が上がっていった。無限ジャンプによって、空中で何度もジャンプを繰り返すことができるようになったおかげで、通常では回避不可能な攻撃を避けたり、高所にいるモンスターを素早く討伐したりすることが可能になった。


「健斗、すごいね…あの技、もう完全に身につけてる。」葵が感心したように言う。


俺は空中で次々にジャンプを繰り返しながら、攻撃を避けるゴブリンを倒し、軽く微笑んだ。「ああ、これならどんな攻撃も避けられる気がする。でも、ここから先はもっと強い敵が出てくるはずだ。気を引き締めないと。」


ダンジョンの奥には、見た目にも異様な雰囲気が漂っていた。岩が不自然に黒く変色し、地面には薄く霧がかかっている。どこか不吉な気配が漂う中で、俺たちは慎重に足を進めた。


その時、遠くから不気味な声が響いてきた。


「…これは、まずい。」葵が顔を引き締めた。「この音、聞いたことがある。ユニークボスの足音だ。」


ユニークボス? それはダンジョン内で非常に強力なボスで、通常のモンスターとは格が違う存在だ。倒すには相当な実力が必要だと聞いていたが、俺たちにはそれに立ち向かう準備ができているのだろうか。


「くそっ、準備しておけ。」俺は葵に向かって言い、背中の武器を調整しながら、空中でジャンプしながら周囲を警戒した。


その時、ダンジョンの深層から姿を現したのは、『アビスガーディアン』。体長は3メートルを超え、黒い甲冑に身を包んだその姿は、まさに不気味そのもの。全身が硬い金属で覆われており、その武器である巨大な槍は俺たちを一撃で仕留める威力を持っていることが感じられた。


「これがユニークボスか…。」葵が低く呟いた。


「やるしかない!」俺は深呼吸をし、すぐに空中ジャンプを使ってアビスガーディアンの懐に飛び込む。槍の突進を避けると、その反動で壁に激しく衝突する。だが、すぐにジャンプで回避して再び攻撃のチャンスをうかがった。


アビスガーディアンは一切の容赦なく槍を振りかざしてくる。俺は空中で何度もジャンプを繰り返しながら回避し、隙を突いて槍の根元に攻撃を加えようとするが、その防御力は想像以上に堅牢で、まったく効かない。


「なんて防御力だ…!」俺は少し焦る。こうなったら、今の技だけでは足りない。何か他の方法を見つけなければ。


その時、ふと思い浮かんだのは、以前に使った床すり抜けのバグ技だ。地面をすり抜けることで、アビスガーディアンの攻撃をかわしつつ、弱点を探ることができるかもしれない。


「試してみるか…!」


俺は即座にそのバグ技を発動させ、地面に向かってダイブする。体が地面に突入し、瞬時にすり抜けてアビスガーディアンの足元に回り込んだ。


「これなら…!」俺は槍の根元を狙って、空中でジャンプしながら攻撃を繰り出す。だが、アビスガーディアンは素早く反応し、槍で地面を激しく突き刺してきた。


「くっ、あれを避けるのは難しい!」


その瞬間、アビスガーディアンの槍が振り下ろされ、俺の身体に迫ってきた。回避できないと感じたその瞬間、再び新たなバグ技が頭に浮かんだ。


「無限ジャンプ…!」


すぐさま、無限ジャンプの技を発動させ、空中に浮かぶ。何度もジャンプを繰り返して槍の軌道を避けることに成功した。


「これで…!」


だが、アビスガーディアンは止まることなく、その攻撃を繰り出してくる。強力な槍を何度も振り下ろしてきたが、俺は空中でジャンプを繰り返し、その攻撃を何とか避け続ける。


葵が遠くから弓を引き絞り、「健斗、今だ!」と声を上げた。その瞬間、俺はアビスガーディアンの背後に回り込むと、ジャンプを繰り返して一気に槍を引き抜くことに成功した。


「やった…!」俺はその瞬間、アビスガーディアンが力尽きて倒れるのを見て、ようやく安心した。


その後、倒れたアビスガーディアンの体からは、非常に強力な装備と貴重なアイテムが次々と出てきた。俺は少し息を切らしながら、そのアイテムを拾う。


「やった…やったぞ、葵!」俺は笑顔で言った。「これで、また一歩強くなれた。」


葵は微笑みながら、「でも、油断はしないでね。これから先、もっと強いボスが待ってるかもしれないから。」と、優しく言った。


「わかってる。」俺はしっかりと頷いた。「でも、今の俺なら、どんな困難でも乗り越えられる気がする。」

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