5、赤龍
「ガラガラ〜!」
引き戸が勢いよく開き、
「私が来たにゅ!」
「わお」
昼頃、ゆったりとした空気が流れる居間にそれは突然やってきた。
猛スピードで居間に飛んできた赤い毛玉は宙を飛んで、ぼくの顔面にクリティカルヒットした。
いつかが、今日来てしまったようだ。
「白龍きたにゅ。私とあそぶにゅ」
「赤龍!」
もふともふの衝突が見られました。
モフりたい
「赤龍どの、よくいらっしゃった」
「お邪魔するにゅ」
えっと、なんか声をかけた方が良いかな、
「こんにちは、澄です」
「先日出した手紙にも記したが、神隠しされてしまった人の子だ。澄という」
「人の子!澄、いろいろ大丈夫にゅ?なんでもてつだうにゅ!」
なにこの赤ふもめっちゃいい子だ。
「赤龍!われは先日この者に名前をつけてもらっての〜ふもになったのだ〜」
「ふも!良き名にゅ。私にもぜひつけてにゅ」
おう、そうくるか。レッドドラゴンとか?でもこの龍、赤龍なのにあんまかっこ良くないしなー
「赤ふもとか?」
それはないだろ、僕。
「私、気にいったにゅ!ありがとー澄ー」
うそだろ。まあいいならいいか。
「ふもー庭にいくにゅ」
「待つのだ〜」
庭でもふもふが戯れる。良い光景だな。
そういえば、手紙ってなんだろ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふもー赤ふもどの。甘味を用意したが、休憩しないか?」
お盆がめっちゃ揺れてお茶がこぼれそうになってる。前々から思っていたけど、環さんって天然なのか?ゆっくりと歩いているのに。いや、お茶こぼれるぞー
「危ない…うわっ」
ゆっくりとお盆が放物線を描いていく。反射的に足を踏み込み手を伸ばす。これ、届くのか?
ガクッ、片手でなんとかお盆を受け止めた。あせったー
「怪我は?」
「大丈夫だ。すまない。助かった。澄は?」
「僕は大丈夫だよ」
「「環、澄〜大丈夫?」にゅ?」
「「大丈夫だ」だよ」
落ち着いて、甘味を並べる。
「今日の甘味は練り切りだ。」
環さんが出してくれた練り切りは桜がモチーフにされていて、とても美しいお菓子だ。春を感じるなー
「ところで環はなんのようで私をよんだのにゅ?」
あの手紙は赤ふもを招待したものだったようだ。
なんだろう?
「手紙に書いた通り、澄の魂を見てもらいたいんだ。」
「魂?」
なんだそれ。
「大雑把に説明すると、神隠しされた人間は本来、召喚した龍と同じ属性のようなものが使えるのにゅ。でも、澄の属性は違うにゅよね?ふもも召喚した覚えはないらしいにゅ。だから、どこの龍が召喚したか知るために、魂の色がわかる火属性の私が呼ばれたのにゅ!」
「なるほど」
じゃあ僕は誰に召喚されたんだ?
「魂を見てもらうから、手をつかんでにゅ」
「あっ、うん」
僕を召喚したのが、ふもや赤ふもみたいないい子だったらいいんだけど。
「赤龍(赤ふも)」火属性の龍。一人称は私。語尾はにゅ。