表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/33

4話 スタート

昨日のうちに、部屋を移るなどの諸々の手続きを済ませた。

今日からレイラ様の専属魔法師となる。

支給された魔法師の杖とローブとを身に付けた。ローブの色は、レイラ様に仕えている証である青色だ。


レイラ様は王城ではなく、敷地内にある別棟に住んでいる。

5年前に突然、レイラ様が「ここに住む!」と言い出したらしい。

本当に、突飛な行動が多くて予測がつかないあの方らしい。


与えられた一室を出て、食堂で朝ご飯を食べる。

皆、私を見てくるのに、誰にも声を掛けられない。

何かおかしなところがあるのかしら。あるなら直接、面と向かって言って欲しい。

それとも、つい最近まで王子の婚約者、魔法師になったと思ったら王族の護衛になったから、あまり良い顔をされないだけなのかしら。


ずっとこんな状態で、もし魔法師だけの遠征があったら、一体どうしたら良いのよ。

挫けそうな気持ちでも顔に出さず、黙々と食事を済ませ、レイラ様が住む別棟へと向かう。

道を歩いていると、今度は王城で仕えている人々がジロジロ見てくる。一体どういう気持ちなんだろうか。


10分ほど歩くと、目的地の別棟に到着する。

あれ、ドアの前に誰か立ってる。もしかして…レイラ様?

駆け足で向かうと、やはりレイア様だ。

「リーファ様、待ってたわ」

「レイラ様、私はこれから貴方様に仕える立場ですから、どうぞ呼び捨てにしてくださいませ。もしかして、私は時間を間違えてしまったのでしょうか」

「違うわ。私が楽しみで待ってたのよ。私の護衛は、貴方で2人目だから」


レイラ様が言うや否や、1人の青い騎士服を纏った男が出てくる。

「レイラ、1人で歩き回るなとあれ程…!」

彼は、私を視認した瞬間、素早く剣を抜き私の喉元に突きつける。

「…っ!!」

早い。何の反応も出来なかった。

けど、式典とかで何度か会っているというのに、私を不審者として認識するなんて、少しショック。

「やめて、クリフ。昨日話したでしょう、今日から私の専属魔法師になるリーファよ」

レイラ様が慌てて彼の腕にしがみつく。

未婚の王族がそんな事して大丈夫なのか!と思うが、当の2人は気にしていないようだ。


ようやく私が誰が分かったのか、慌てて剣を納める。

「失礼した、ファムレット元公爵令嬢……私は」

“元”の部分を強調され、何となく言葉に棘を感じる。

「お名前は存じております。ダンヘルタン公爵子息様」

彼の言い方に、私の方も少し刺々しくなっても仕方ないと思う。

ダンヘルタン公爵家次男、クリフ・ダンヘルタン。

ちなみに、この国には公爵家は2つ、いや私の家は潰れたから、もう1つしか無いか。

顔を合わせる機会は何度もあったから、彼の噂は知っている。


剣の実力は騎士団でトップ。火属性を使いこなし、魔力量も並みの魔法師より多い。

まさに「天才」と呼ぶに相応しい人物。だが、性格に難ありとして有名だ。

確かあだ名は…

「烈火の黒獅子」

「おい。俺をその名で呼ぶな」

あ、しまった。口に出てしまっていた。

凄い殺気で、足が、全身が、無意識に震える。


「クーリーフー」

レイラ様が半目でクリフの事を見ている。

「………」

レイラ様の様子を見たクリフは、慌てて殺気が消すと、怒っているレイラ様を必死で宥めている。

何というか、大きい猛獣と猛獣使いみたい。

「ふふっ」

「何がおかしい」

思わず、2人の様子に笑ってしまう。

ジロッとクリフが見てくるが、それさえも何だか面白く思えてしまう。

「いえ、何でもありません」

今までの退屈な王太子妃生活より、よっぽど楽しそう。


こうして、私の専属魔法師としての新たな人生がスタートしたのだった。

「面白い」「続きが気になる」となど思っていただけたら、ブクマや『☆☆☆☆☆』マークより、評価を入れていただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ