32話 復讐か忠誠か
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1人になった私は、先ほどの教皇の言葉を反芻していた。
「よく考えろよ。中途半端では何も成せないぞ」
今の私は復讐と忠誠心の両方を持っている。どちらも叶えたいと思っているが、そんなこと本当に可能だろうか。
魔物というのは、その魔力量によって寿命が変わると言われている。
A級の魔物でも寿命は300年もあるのだ。
この世界が、私の前世から何百年後かは知らないが、あの魔人とやらはまだ生きているに違いない。
それならば、レイラ様の生まれ変わりという、不確定なものを探すより、復讐することを考えるべきなのか。そう思った瞬間、自分が自分の考えに拒絶した。
そうか…私は怖かったのか。
万が一、私と同じようにレイラ様の生まれ変わっていたとして。そしてもし出会えたら。
復讐に燃えて、専属魔法師として仕えていたあの時とは別人のようになった姿を見せることになるのが。その姿を見て、失望されるのが怖くて。
レイラ様にお仕えしようという気持ちと、復讐したいという気持ちで揺れる。
復讐に心身を注ぎ込めば注ぎ込むほど、陽だまりのようなあのお方には会いたくないと思うようになるだろう。
でも、どっち付かずではどちらも成せない。
「よく考えろよ。中途半端では何も成せないぞ」
教皇の言葉が頭の中で何度もこだまする。
「私はどうすれば良いんだ」
だが、どれだけ悩んでも私は答えが出ることはなかった。
「…ま、…様、聖女様」
リチャードに身体を揺さぶられて意識が現実へと戻ってくる。
「どうしたの、リチャード」
どうやら考え込んでしまって、リチャードが帰ってきたことに気付かなかったみたいだ。
時計をみると2人が出て行ってから30分ぐらい経っている。
「どうしたの、ではございません。何度声をお掛けしても返事が返って来ないので無礼と承知で部屋に入ったのです。先ほど聖女様の目は虚ろでした、念のため医師に診てもらいましょう」
リチャードは私の腕を引っ張って、強引に連れて行こうとする。
「だ、大丈夫よリチャード。ちょっと考え事してただけだから。それより専属の侍女候補の方々といつお会いできるかしら」
「ですが」
「いつ、お会いできるの?」
駆け寄って背伸びをして顔を近づけると、彼は2、3歩下がってから答えた。
「…聖女様が宜しければ今すぐにでも」
「じゃあ、案内してくれる?」
「…承知いたしました」
まだ少し納得できていない顔だったが、私の押しに負けて了承してくれた。
リチャードに連れられて初めての廊下を歩いていく。
「ダニエルが先に面談して、最後の5人にまで絞ってくれました」
どうやらこの30分で30人ほどを面接したらしい。
いくら2人が優秀でも、1人1分ほどの時間でどんな人物かを見極めるのは難しいのではないか。
考えていたことが顔に出ていたのか、リチャードはニッコリしながら「これは独り言ですが」といって話し出した。
「侍女候補の現所属派閥、日々の様子、聖女様への態度などは昨日のうちに報告書を貰っていました。それを見てある程度絞っていたんですよ。面接で良いなと思った子でも、貴族の息がかかった者だと少々厄介なことになりかねないので」
こんなこと迂闊に喋るとまずいんですけど、とリチャードはおどける。
「そう、なら安心ね」
まぁ、侍女は芯のあってやる気のある子が良いな、と思いながら私は廊下を歩き続けるのだった。
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