30話 教皇と話を終えて
私達は教皇の部屋を後にし、ダニエルの部屋に行くことにした。3人の足取りは重く、誰も喋らないから部屋に着くまでが本当に長く感じる。
何度か2人に視線を送るも、2人ともと目が合わない。
やっとダニエルの部屋まで辿り着くと、私はソファに倒れ込んだ。同じくダニエルはドサっと座るが、リチャードはソファの後ろに立つ。
「どうして…すぐに断らなかったのですか」
リチャードが困り顔でこちらを覗き込んでくる。
「だって…貴族に探りを入れれたり、恩を売るチャンスがあるのよ。それに教皇に依頼された瞬間を魔道具に収めておけば、弱みも握れるでしょう?」
2人の呆然とした顔を見て、そういえば私のオリジナル魔道具だったな、と思い出す。
そう、私が過去に創作した魔道具の中には「過去を覗く魔道具(ただし、1年前まで)」と「目の前を音声つきで5分間保存できる魔道具」がある。
レイラ様が攫われた後どうなったのか、今どこにいらっしゃるのかを知るために作った魔道具。
どちらもレイラ様が亡くなってから制作を始め、1年半後に完成したものだ。
だが、他の人を見ようとすると正常に作用するのに、レイラ様を見ようとすると何も映らなかった。そして、同じような現象が起こるのは、その時点で既に亡くなった人を映そうとした時だけ。つまり、あの時にはレイラ様はもう…
あの時には何も役に立たなかったけど…
魔石に付与する魔法陣は覚えている。
問題は魔法陣に耐えられる魔石がA級以上のものだということ。今は、魔物を冒険者か騎士が狩るから、魔石を買うしか方法がない。
でも、高ランクの魔石って高いんだよなぁ…
「そんなもの、存在するのか「作れるのか」」
私が思考に耽っていたが、2人の声で現実に引き戻される。
「うん、私が作るよ」
「作る!?聖女様がですか?」
リチャードが驚いていて声を上げるが、ダニエルは私の言葉を聞いてブツブツと何かを言いながら考え込んでしまった。
「魔道具までお作りになるとは…聖女様のお言葉を疑うわけではないが、信じられないな」
「うーん。魔道具作れるって証明するために、簡単なもので良いなら、G級の魔石を買ってきてもらって、今作るけど」
G級であれば、子供のお小遣い程度の値段なはずだ。なにせ狩るのは、成人したての若い者ばかりだから。
「G級の魔石なら持っています。聖騎士見習いの時に、初めて狩った魔物の魔石を記念として貰いますので。少々お待ち下さい」
そう言うとリチャードはバタバタと部屋を出ていった。
ちょ、ちょっと待って!
一言も喋らなくなったダニエルと2人きりにしないでよ…めっちゃ気まずい。
しかも、私のことをじっと見つめてくるし…
「やっぱり君は」
ダニエルは、何かを言おうと口を開いているが、結局それ以上言うことなく口を閉じた。
「…はい?何か言いましたか?」
「いや、なんでもない」
ダニエルがフッと笑った。
え?なに?さっきからダニエルの様子がおかしいんだけど。
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