22話 専属騎士
「なっ!」「何ですか今の魔法は!」
2人の驚く様子に、嫌な予感がする。
効果《任意》は、光魔法を使う人達の中でも1部の人達しか使えなかった。もしかして、私、やってしまった…?
「私の魔法って…変?」
私の言葉に、2人は気まずそうな表情を浮かべる。
「まず、私の怪我を治して頂き、本当にありがとうございます。聖女様の魔法ですが、変…と言うよりは、貴方様のような詠唱コードを聞いたことがありません」
リチャードは言葉を選びながら話してくれる。
「普通はなんて言うの?」
「他の聖女様は治療なさる時、ヒールとだけ仰います」
「…へ?」
あり得ない。使用魔法、範囲、効果を設定しないと、余計な魔力を放出してしまうのに。
光魔法の技術は後退していると思ったけど、まさかここまでとは…あまりの衝撃的すぎて頭を抱えた。
「エリザベス様…?もしかして、はじめて魔法を使ったので、気分が悪くなってしまったのでは?」
ダニエルが慌てて医師を呼んでこようと立ち上がる。どうやら考え込んだ私を見て、気分が悪くなったと勘違いしたらしい。
「ううん、大丈夫よ」
「で、ですが、一度見てもらった方が…」
「本当に大丈夫だって」
私はダニエルを制止し、もう一度座らせる。
今は深く考えないでおこう。魔法の技術の後退は、どうしようもないことだったのだ、と自分に言い聞かせる。
「分かりました、あなたがそう仰るのなら医師は呼びません。とりあえず、エリザベス様が魔法を使えることが分かりましたから、明日からは実際に魔法を使う練習をしても良さそうですね」
「うん、大丈夫だと思う」
5年も魔法を使ってはいけないなんて、耐えられなかっただろうし。
「聖女様」
突然、リチャードは大声を上げ、最初の時と同じように片膝をついた。
「は、はい。何でしょう?」
「私を聖女様の専属騎士にして下さい。命を賭して貴方様をお守りいたします」
「え…良いんですか?」
やった!護衛騎士をどう選ぶか迷っていたのよね。実力は一目見ただけで分かるけど、その人の性格までは分からないし。その点、リチャードはダニエルが信頼に値する、と言っているからちょっと安心かも。
「聖女様を毛嫌いしていたあなたが専属をお願いするなんて、いやはや良いものを見させて頂きました」
「うるさい。黙れ」
「ええと、なんでしたっけ。『親に無理矢理ここに連れてこられただけで、高慢な聖女の相手なんてしてられない』でしたか?」
「本気で黙れよ、ダニエル。俺に殺されたいか」
2人の言い合っている様子を見て思わず笑ってしまう。
「ふふ、2人ともこれからよろしくお願いしますね」
こうして、明日決めるはずだった私の専属の聖騎士が決定したのだった。
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