21話 初めての魔法
「エリザベス様は、5歳時点で光属性の魔力が検知できていますから、頑張れば可能だと思いますよ」
ダニエルの返答は割とあっさりしたものだった。
「次の能力判定はいつかしら?」
「今年の夏ですが…え、今年の優勝を目指されるのですか?」
「もちろん」
私の答えに、ダニエルは慌て出す。そんなに驚くことを言ったかしら。
「い、いや、無理ですよ。エリザベス様はまだ魔法の勉強を始めていません。そもそも、5歳児の体で魔法を使うことなどできないはずです」
「じゃあ、魔法の授業はどうなるの?」
「魔法の概念のみを勉強します。10歳で魔力を検知した方と合わせるため、実践訓練は11歳以降になりますね」
リーファは、5歳の時には魔法の訓練をしていたけど…
やっぱり、昔とは色々な概念が違うのね。
「魔法なら使えると思うわ。ナイフある?」
「え?え…ちょっと待って下さい。あなたに怪我をさせるわけにはいきません」
ダニエルは、扉の所で警護していた聖騎士に何かを伝えると、その騎士はバタバタと走っていった。
「どうしたの?」
「知り合いの聖騎士で、怪我をして以来護衛任務に就けなくなった方がいるのですよ。勿論口は堅いですし、信用に値するモノです」
「ふーん」
暫くすると、さっきの騎士が違う人を連れて来る。
わぁ、イケメンだ。ダニエルは優男って感じだけど、この人は体がガッチリとしていて、筋肉好きの人には人気がありそう。
それに、騎士としての腕前も確かなようだ。
だが、それよりも彼が怪我をしているであろう場所に目がいく。どう見ても、彼の怪我は普通の怪我ではない。
「お前から呼び出すなんて珍しいな。ダニエル」
「そうですね。あなたが怪我をしてからは会っていませんでしたから、3ヶ月ぶりですね」
「何の用だ」
「もしかしたら、あなたの怪我が少し和らぐかもしれません」
「は?どの聖女様でもこの怪我は匙を投げたんだぞ」
「…とりあえず、この方に挨拶してください」
ダニエルの言葉で初めて私の存在に気が付いたようだ。
彼はハッと青ざめると、ダンっと膝をつく。
「大変失礼いたしました。私はリチャードと申します」
「エリザベスと申します、リチャード様。怪我は…胸の辺りをザックリやられた感じでしょうか?」
「は、はい。ですが…どうしてそれが」
私はこれまで色々な怪我を見てきた。
私の勘が正しければ、彼の怪我には呪いが込められている。魔物の中には、呪いを使うものもいるから、魔物にやられたのか。それとも人為的なものか。
何にせよ、呪いを解かなければ徐々に呪いに侵され死に至る。
怪我を負ったのは3ヶ月くらい前かな。見た感じだと、そこまで強いものではない。
「勘です。怪我を負ったところを見せて下さい」
「…は、はい」
怪訝そうな顔をしつつ、リチャードは上の騎士服を脱ぐ。
「光属性の魔法を使うのははじめてなので、失敗しても怒らないでくださいね」
「もちろんです」
「じゃあ、いきます。『光魔法 効果任意 前者1名』」
この体では初めての魔法だ。感覚的には成功したと思うけど…
リチャードの体がキラキラと輝く。光が収まると、彼の胸にもう傷跡は無かった。
「面白い」「続きが気になる」となど思っていただけたら、ブクマや『☆☆☆☆☆』マークより、評価を入れていただければ嬉しいです。




