17話 お付きの神官
次の日、私は家族に別れを告げると、昨日と同じ神官に連れられて教会へと向かった。
「昨日はご家族と楽しく過ごされましたか?」
「はい!」
「それは良かった。今日は、お付きの神官と侍女、騎士を選んでいただきますよ」
「お付きの神官さま?騎士さまも?」
「そうですよ。聖女様には、専属の神官と騎士が最低でも1人ずつ、侍女は3人必要なのです」
その後の神官の話によると、神官は一定以上の位になると服の一部に刺繍が入るのだそうだ。青、緑、黄、オレンジ、赤、紫の順に位が高くなっていくらしい。私付きの神官は必ず色持ちでなければならないのだとか。
侍女は7歳から15歳の侍女がすでに30人ほど選抜されているらしい。その中から選んだら良いそうだ。
それに、教会に属する騎士は聖騎士と呼ばれ、聖女専属聖騎士は聖騎士の中でもエリートらしい。
聖女は年に1人出るかどうかぐらい少ないし、殆どが10歳の時に見つかるから、5歳で見つかった私は、期待の星なのだそうだ。同い年の王子様もいるから、いずれ婚約者になるだろうとの話だ。
王子が婚約者とは…前世を思い出すから辞退したいところだ。
「着きましたよ」
「わぁ!きれいな建物ですね!」
馬車から降りると、王城とはまた違う洗練された建物が目の前にあった。
「本日からは、ここで暮らして頂きます」
「分かりました!」
私は元気良く返事をして、教会の中へと入る。
歴代の教皇と思われる人達の肖像画がずらりと並ぶ廊下を抜けると、大きな講堂があった。
「こちらで、毎朝お祈りをするんですよ」
「お祈り?」
「ええ。毎朝7時にここへ集まり、女神様にお祈りするのです」
「ふーん」
前世では、あまり教会と関わった事がない。
というか、私はレイラ様一筋だったからなぁ。レイラ様が、教会の運営する孤児院を訪れる時ぐらいにしか教会には入ったことがない。
「お祈りが終わったら朝食を食べ、午前中は歴史や作法、魔法などの勉強をします。午後からは自由に遊んで良いですよ」
「午後は遊んで良いの?」
貴族の子女は朝から晩までずっと勉強とか礼儀作法の練習をしているものでは…
「ええ、午前中しっかりお勉強できたらですよ」
神官はにっこりと肯定したため、私はそれ以上何も言えない。
「はーい!」
元気良く答えること以外は出来なかった。
♢♢♢
「それじゃあ、まずお付きの神官を選びましょう」
神官に連れられて、大きなホールへとやって来た。
私の前には、神官がずらりと一列に並んでいる。全員の白い服に何らかの色で刺繍されていた。
私に近い人ほど高い身分の人で、向こうに行けば行くほど青や緑色の刺繍の人達だ。
「よろしくお願いします」
私は一礼して1人1人をじっくりと見た。
前世では公爵令嬢として、また副団長として人を見る目は養ってきたつもりだ。
ふと、1人の人が目に留まる。
顔は飛び抜けてイケメン。銀色の髪と目が美しい。だけど、私が注目したのはそこじゃない。
全員が今日のために、服を新調したり刺繍が細かく綺麗なものを身に付けている中、彼の服は少しくたびれていて、刺繍はとてもシンプルだ。
普通、色持ちの神官は貴族階級の次男や三男がなる。だから、実家からお布施という形で金銭的援助を得られるのだ。
だが、彼はおそらく…
「こんにちは、お名前なんですか?」
私が話しかけると、彼は目を大きく開いて固まった。だが、すぐに礼をして答えてくれる。
「青色神官のダニエルと申します」
彼の礼や言葉遣いから、私の予想が当たっていることを確信する。
「じゃあ、ダニエル様。私付きの神官になって下さい」
そう言って、私は自分の手を差し出したのだった。
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