13話 魔人対決
その日、私は地下迷宮の最奥へと到達した。
地面に施されている魔法陣の模様からして、恐らく地上への転移魔法だろう。前に、迷宮踏破者に見せてもらったものと酷似している。
ここも何の手がかりも無かったか…
脱力し、魔法陣に足を踏み入れようとした、その時だった。
目の前が一瞬揺らぐ。誰かが転移して来た時に起凝る現象のような…
だが、ここは最下層で、私の次に速い攻略組もまだあと5階層以上差があったはず…
そう思って瞬きをした瞬間、目の前に1人の魔人が立っていた。
「なっ!」
「!!……!」
私はすぐに剣を構え、魔人に向かって一直線に駆けた。
やっと見つけた、憎い相手。
何としても殺すか、せめて捕えなければ。私は全速力で魔人に飛び掛かった。
不意を突かれた魔人に、私の剣が深々と突き刺さる。
私が刺さった剣を勢いよく引き抜いたが、魔人は悲鳴をあげることはなかった。
致命傷とまではいかないが、それなりにダメージを与えられたはず…そう思った。
私がつけた傷は、次の瞬間には一瞬で無くなっていたのだ。
あり得ない光景だった。
魔人が闇魔法を操ることは分かっていた。でなければ、あの魔法陣を描くことはできないから。
だが、闇魔法では傷を治すことは出来ないはず。
…彼らは光魔法も操るとでもいうのか!
そもそも魔法を使うには、特定の文言もしくは魔法陣が必要なはず。そんな仕草は一切無かった。
魔人達が操っているものは、魔法ではないのか。
色んな疑問が頭に浮かんだが、次の瞬間には忘れ去っていた。
私の顔の目の前に、魔人の顔があったのだ。
「…あっっぶな!」
振り下ろされた拳を何とか避ける。
私がいた場所の地面は抉れていた。もし攻撃が当たっていればと思うとゾッとする。
「せめて…言葉が分かりさえすれば…」
相手は、時々奇声を発しながら私に攻撃を仕掛けてくる。
魔法が使っているのか…確かめようにも、次の攻撃が絶え間なくやって来て、確認のしようがない。
魔人は底無しの体力なのか、攻撃は止まることなく30分以上続いた。
その間、防御する事しか出来なかったが、私の体力はどんどん削られていった。段々、反応が鈍くなり、間一髪で避ける事が多くなる。
魔人もそれに気がついたのか、ニヤリと笑った。
悔しい。こんなにも一方的にやられるなんて。
レイラ様を攫った憎い相手なのに。せめて、一撃だけでも…
「…やってやる!!」
私は常にお守りとして持ち歩いていた魔法陣を取り出した。
「…!、!!」
魔人はこの魔法陣の効果が分かったのか、私への攻撃をやめ、何かの魔法陣を展開しようとする。
だが、私が魔法陣を使う方が僅かに早かった。
自分の命を削る代わりに、相手の同等価の魔力を永遠に失わせる、というオリジナルの魔法陣。
だがこの魔法陣は、自身の寿命の何年分という指定ができず、一度発動すれば、相手の魔力が全て失われるか、魔法師の寿命が尽きるまで止まらない未完成の魔法陣だ。
まだ完成していないものの、魔人と遭遇した時の私の最終手段として念の為持ち歩いていたのだ。
このまま戦闘を続けたところで、私に勝ち目はない。
この命全てをかけて、私はお前を弱体化させる。
私は意を決して、魔法陣に魔力を流し込んだ。
そこで私の記憶は途切れている。
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