11話 危機(途中からクリフ視点)
「光魔法 効果にん……」
何十回目か、魔法を使おうとした時、突然目の前がフラッとしてしまう。
「っ!リーファ副団長!」
1人の騎士が私を支えてくれた。
「大丈夫…少し、魔力、使い過ぎちゃった、だけ…」
はあ、はあと中々息が整わない。
「副団長。これ、魔力回復ポーションです」
「ありがとう」
私自身が持って来た魔力回復ポーションは5本。
慎重に使わなければ、すぐに無くなってしまう。
「生き残っている人が多いのは良い事っすけど…食べ物とか飲み物、足りますかね…」
騎士の1人が不安そうに呟く。
「私達の分を削ってでも、1人でも多くの市民を助けなきゃ…それが聖女護衛騎士団が派遣された意味だから…」
息継ぎの間にポーションを流し込む。魔力が徐々に回復して行くのが分かる。
あと1回くらいなら魔法を使えそうだけど、いつどこから襲われるか分からないような状況で魔力が全く無くなるのは避けたい。
「私が今まで治療した人は、ここに何人残っている?」
「まだ12人運べていません」
「貴方達3人は、その人達をいち早くここから運んで」
4人のうち3人に声をかける。
「あ、あの私は?」
「予め用意していたテントはあと何人くらい入る?」
私の唐突の質問に、騎士団員が戸惑いながら答える。
「え、えと…もうほぼ満員でした」
「じゃあ、騎士団駐在場にテントがあるはずだから、探して来て」
「は、はい」
彼はバタバタとしながら馬に乗ったが、突然不安そうな顔になる。
「あの…副団長はどうされますか?」
「今、私は魔法が使えないから、レイラ様に魔法を使って頂くしかない。レイラ様の魔力量を考えて、怪我人を運んでいく」
「あ…了解致しました」
パカラパカラと軽快な音を立てながら、彼が走って行くのを見届ける。
動ける人には自分で動いてテントへ行ってもらった。その人達全員の傷をレイラ様は治療しただろう。100人前後の人達がテントに向かったから、重傷人の治療は10人が限界だろう。
倒れた建物の中から生き残っている人がないか必死で探して行く。
ドカン、ドオーンとひっきりなしに音が続いている。
魔人討伐に向かった23人の中には治癒師が2人いる。ある程度の怪我は治してくれるだろう。
だが、即死ならばどうやっても治せない。ずっと聞こえるこの音に、どうしても不安にさせられる。
「後ろ向きに考えたら、だめね。騎士達を信じましょう」
私は一般人を見つけ、レイラ様の元へ運ぶ。その作業を延々と繰り返したのだった。
♢♢♢(クリフ視点)
「この…化け物め…」
聖女護衛騎士団は、1人1人が一騎当千の強者ばかりだ。この騎士団の約半数がS級魔物の単独討伐経験がある。そんな騎士達22人がたった3体の魔物に手こずるとは…
俺は全員の指揮を取らなければならない為、騎士達が何度も傷を負いながらも戦ってくれているのに、直接戦闘に参加できないこと何とも歯痒い。
「…!!……!」
「!!……、!…」
魔人が何を言っているのかは、さっぱり分からない。
だが、私達を一目見た瞬間、襲ってくる凶暴性。そしてこの強さ。
ここで討伐せねば、下手すればこの国が滅びる。
「!!!」
突然、3体が同じ方向に向くと、私達との戦闘を中断して、一気に駆けていく。
「おい、待て!!」
そっちは城壁門の方向だ。門を出れば、市民を保護するテントや他の7名の騎士、何よりレイラがいる。
「団長!」
「奴らを追うぞ」
「「「はっ!」」」
嫌な予感がする。冷や汗が背中を伝いながら、俺達は馬を走らせるのだった。
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