第五十四章 雪山惨禍 10.状況終了
~Side ネモ~
「……知らない天井……でもねぇか」
目が醒めて辺りを見回してみたら……どうもサクシルの対策本部の一室みたいだな。
何とかいう村で、雪崩とタイマン張るなんて馬鹿な真似やらかしたのは憶えてるんだが……どうやら生き延びたか。
『マスター おきたー?』
あ……ヴィク、俺に魔力を送るなんて無茶をしやがって……大丈夫なのか?
『うん へいきだよー』
『ならいいが……あまり無茶をするんじゃねぇぞ』
『うん ますたーと おなじくらいにするー』
……そう言われると、返す言葉が無いな。
改めてヴィクに話を聞いたところじゃ、間一髪で俺とヴィクを引き摺り出してくれたのはエルらしい。命の恩人ってわけだ。この借りはいつかきっと返す……って、何か悪役の捨て台詞みたいに聞こえるな。
俺はそれから気を失ったまま、サクシルの町まで運ばれて来たらしい――昨日。
『……て事は何か? あれから一日経ってんのか?』
『うん そうだよー』
事の顛末は後で誰かに訊くとして――
『マスター からだとか だいじょうぶー?』
『……そうだな。一眠りしたせいか体力も戻ったみたいだが……念のためにステータスのチェックをしとくか。ヴィク、見張りを頼む』
『うん まかせてー』
俺は転生者特典だか何だかで直接自分のステータスを確認できるが、普通は【鑑定】スキルか魔道具を使わないと確認できない。俺は【鑑定】スキルは持っていないから、自分のステータスを確認はできない事になっている。……まぁ実際は、【鑑定】の上位版みたいな【眼力】スキルを貰ってるんだがな。
ともかくだ、公式には自分のステータスを確認できない筈の俺が、ステータスチェックなんてしてるのを見られたら、拙いなんてもんじゃねぇ。ヴィクに見張りを頼むのは当然の帰結ってわけだ。
『おぉ……無茶をやったせいか、豪く魔力が上がってんな』
何だかんだで入学からかれこれ九ヵ月、成長期という事でそれなりにステータスも上がってたんだが……それを考慮に入れても、魔力値の伸びは豪い事になってる。
……こりゃ、擬装値の方も少し弄っとかんとボロが出そうだな。
という事で、以下に示すのが俺の新しい公式ステータスでございます。ちなみに、[ ]で括っているのが本当のステータスな。どちらも入学直後の数値と対比させる形で示してあります。
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名前:ネモ
種族:人間[転生者]
性別:男
年齢:十三
魔 力:58←45 [230←167]
生命力:45←43 [115←101]
筋力値:18←15 [31← 28]
防御値:14←10 [48← 43]
敏捷値:15←12 [40← 36]
器用値:10← 7 [42← 38]
知力値:12← 7 [70← 63]
スキル:【生活魔法】【調理】【狩りの心得】【護身術】【魔力操作】【収納】【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【光魔法】【闇魔法】【従魔術】[【不動心】【状態異常耐性】【熱交換】【他心通】【口車】]
固有スキル:無し [【眼力】【願力】【悪神の偽装】]
称号:『蛇狩り職人』『一人城壁』 [『天界の恐怖』『闘神を威圧せし者』]
加護:無し [『最高神の加護(大)』『闘神の加護(大)』『悪神の加護(大)』]
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……何か称号が増えてるし、加護にも(大)の添え字が付いてるが……気にしないでおこう。あ、いや、神様方には感謝しないといかんな。加護を強化してもらったみたいだし。
あぁちなみに、ヴィクが貰った最高神様の加護にも、ちゃんと(大)の添え字が付いていた。魔力値も上がってたしな。
『マスターと おそろいー♪』
うんうん、お揃いだな。やー、ヴィクには本当に癒されるなぁ。
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結局、その日一日は休ませてもらって、俺たちは次の日に王都に戻った。




