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第四十五章 シャル・ウィ・ダンス? 3.それぞれの結末

 ~Side ネモ~


「ネモはいつになく温和(おとな)しかったよな」


 危険人物のシャロン・ハーシェルに一時間も付き合わされて、ぐったりしている俺に気楽に話しかけてきたのは、KY(くうきよめない)男子のエリックのやつだ。こいつ、特別(ダンス)授業の態度と成績が今期の成績に加味されると知って、真剣そのもので取り組んでやがったからな。腐っても貴族だけあって、結構(さま)になってたのがムカつくが。


「おいカルベイン、〝いつになく〟――ってなぁどういう意味だ? その言い方だと、俺がしょっちゅう暴れてるように聞こえるじゃねぇか」

「い、いや……そういうつもりじゃなくて……」

「さすがにネモさんも、ハーシェル先輩の事はご存じでらしたようですわね」


 ――ん? 確かに知っちゃあいるが……ちょっと気になる口ぶりだな。


「どういう意味だ? お嬢」


 俺の問いに答えてお嬢が話してくれたのは、


「今の自治会長は優秀な方なのですけど、それを裏で支えているのがハーシェル先輩なのですわ。会議などでも現実的で、かつ巧妙な提案をされると好評でしてよ?」


 おぉ……本編じゃ色んな意味で優秀なキャラだったが……あの歳でもうそんな評判を取ってんのかよ……。ゲームじゃそこまでの話は出てこなかったぞ。



 ********



 ~Side シャロン~


 期待どおり面白そうな少年()だったわね。


 下馬評よりは温和(おとな)しかったけど、萎縮していたわけじゃなさそうだし。どちらかと言うと、こっちの事を警戒していたみたいな感じだった。

 スライムがあれだけ(なつ)いてるのも初めて見たし。


 それに、ネモ君だけじゃなくて……


「今年の一年生は粒ぞろい……退屈はしなくてすみそうね……」



 ********



 ~Side ネモ~


「……そういうわけで、俺はこんな苦行を長く続けるのは真っ平だ。集中してさっさと憶えるぞ」

「俺もそれには同意するが……具体的にどうするつもりだ?」


 俺が話を持ちかけたのはエルだ。ゲームじゃ全員が最低限のダンスステップを憶えるのがクリアーの条件だった。今の時点でその最低ラインを形成してるのは、俺とエルの二人の筈だ。逆に言えば、この補習がどれだけ続くかは、俺とエルの腕次第、奮闘次第って事になる。


「要人確保の訓練だと思えばいいんだ。ダンスの場で要人を確保し、不自然でない動きで守る。そういう設定だと思えば、少しは訓練に身も入るだろう」

「おぉ……なるほど、それならいけそうだな」



・・・・・・・・



 こういうわけで、俺とエルは要人確保の訓練のつもりで、ダンスの補習を乗り切った。



「何か殺伐としたものを感じましたが……まぁ、騎士の動きに似ていると言えなくもないので、良しとしましょう」



 ――という微妙な評価を戴いたけどな。

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