表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/356

第三十八章 創立祭~楽日~ 3.不審者(その1)

 ~Side ネモ~


 従魔術科の見学を終えて教室を後にした――従魔たちがほっとしたような気配を見せた。くそ――ところで……俺たちの方を窺っている者がいるのに気が付いた。

 気配からすると、ついさっきやって来たばかりのようだ。見れば身分のありそうな爺さんとその護衛って感じだが……ただ……この護衛、さっきからこっちを剣呑(けんのん)な目つきで眺めてやがるんだよな。……まぁ目つきについちゃ、俺だって偉そうな事を言える立場じゃないんだが……


『マスター やなかんじだねー』

『だな』


 ま、俺が――前世から引き続いて――悪人顔らしい事は自覚してるし、警戒するだけならとやかく言うつもりは無かったんだが……おぃ……殺気を放つって事は、学園内(ここ)でドンパチやらかそうって事か? さすがにそいつは看過できんぞ?


『マスター やっちゃうー?』

『あぁ、あちらさんはそれをお望みらしいからな』


 こいつが隊長さんたちの懸念していたテロ犯だってんなら、この場で後腐れ無く片付けておいた方がいいだろう。


 ――そう思って、俺とヴィクも戦闘態勢に入ったんだが……


「あぁ、これこれ、ちょっと待ってくれ。これは誤解なんじゃ。少し話を聞いてくれんか」


 ……テロ一味の(じじい)が何か慌ててるようだが……そんな戯言(たわごと)、誰が聞くかってんだ。まず、目の前のこいつに武装解除させるのが先だろうが。手順を履き違えてんじゃねぇ。……先に(じじい)の方を片付けるか?


「……だから……誤解じゃと言うておろうが。……レミディオ、お主も引かんか」


 ……()(しゃべ)(じじい)だが……目の前のやつは相変わらず()る気満々で、聞く耳持たんって感じだな。どうやら(じじい)の指揮下にはないようだし……やっぱり、こいつから先に始末するか……


「ネモ君! 待って、待ってくれ!」


 ……声からすると、従魔術科助手のギルベールか? 俺はこいつから目を離せんから、ヴィクに確認してもらうとしよう。……従魔(ヴィク)と感覚を同期させる事もできるんだが……スライムの感覚って、人間のそれと違い過ぎてて()く判んねぇんだよな。ヴィクから報告してもらった方が早いわ。


『マスター さっき へやにいたにんげんだよー ギルベールって よばれてたー』


 ――どうやら間違ってなかったか。


「ネモ君! こちらの方の()(もと)は僕が保証するから! そっちの護衛の人もだから!」


 ギルベールが保証するって事は、大丈夫なのか? 一応、確認しておくか。


「……テロ……無差別殺人犯とかじゃないんですか? 国家転覆を謀る?」

「無差……ち、違う! この場で家名を言うのは差し控えさせてもらうが、(しか)るべき家柄の方だ!」


 貴族にだって()(ほん)人はいるぞ? あの三馬鹿だってそうだったろうが。ゲームの展開に従うなら、この先大物貴族が()(ほん)を企てる筈なんだが?

 ……まぁ、ここはギルベールの顔を立てておくか。……何かあったらこいつに責任をおっ被せよう。


醜聞(スキャンダル)に興味は無いんで、家名を聞くのは遠慮しますよ。ただ……俺がいなくて大丈夫ですか?」

「大丈夫! 大丈夫だから!」


 そういう事ならこの場は退()くか。……けど一応、隊長さん方には話を通しておいた方が良いな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ